永瀬くんは、ニセのプリンス様【1】 (ページ27)

今日:1 hit、昨日:14 hit、合計:829,461 hit

prince27 ページ27

.

.

夏の残暑も終わり、

初秋の朝は肌にさらりとして気持ちが良い今日。

学校の制服も夏服から冬服に衣替えをし、

我が校は今シーズン一大イベントである文化祭の準備に

勉強よりも勤しんでいた。

あ「絶対着なきゃダメ？」

「うん。ダメ。」

あ「…絶対？」

「蓮見さんは絶対浴衣着て接客した方がいいって！」

クラスでいくつかのグループに分かれ、

各自の役割を果たしてる中、

私と郁美のグループはというと、女子更衣室で

浴衣の試着をしていた。

あ「私裏方やりたいんだけど…」

郁「え～っはーちゃん可愛いのにっ！」

接客するだけならバイトでもしてるから

得意なほうだけど、

浴衣を着てまでの接客は正直やりたくない。

それなら着たい子達が浴衣着て

接客すればいい話じゃない？

クラスの出し物決めで多数決で決まった浴衣カフェ。

当日はパンケーキや飲み物を作る裏方と

浴衣を着て接客する側で

分担することになったのだけれど。

当然私は裏方を立候補したのに

何故かみんなに無理矢理浴衣を着せられ、

執拗に接客を勧められていた。

それでも頑なに嫌がる私を見兼ねた委員長が、

「そしたら蓮見さん宣伝係やる？」

別の提案をしてきて

郁「あっ、そうだよ。

宣伝係なら接客することないし

制服で校内回ればいいし」

あ「ん〜宣伝かぁ…」

まぁ、浴衣着るくらいならそっちの方がいっか。

ただ回ればいいわけだし。

あ「うん。わかった」

少し考える素振りをして、快く了承した。

.