ライアーガール〔愛を失くした嘘つきは〕3 (ページ14)

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再会したら、もっとしんみりすると思ってたのにこれは何？

ただの痴話喧嘩みたいになってる。
違うのに。もっと深刻な問題だったのに。

なんでこんなことに……と悲壮な気持ちでいたら
ゴホンゴホンとドアの外からワザとらしい咳払いが聞こえてきた。

もしかして声、でか過ぎた？

思わず手で口を覆うと、それを見たベクがわたしを衣装が沢山掛かったハンガーラックの後ろへと隠した。

「…………ヒョン、」

「Aいるんだろ？バンタンの皆んなが探してる」

知ってる声に安心して、でもさっきの事を思い出し、出るか出ないか躊躇してたら、スタスタと近付いてくる足音。

「帰る前に拾いに来るかなって、そのままにしておいたんだけど。……なにベクに見つかってんの」

し、う、ちゃん……。

おかしいと思った。綺麗好きで真面目なしうちゃんがお菓子散らかったまま放置するなんて。

そしてですね、わたし、そこまでいやしくない。
うちの楽屋にもガトーは置いてあったし。

「……ヒョン知ってたんだ。ライアがAだって。なんで教えてくれなかったんだよ」

「俺も今日会うまで半信半疑だったから。で、別れ話は終わった？」

コクコク頷くと、優しい顔で頭を撫でられた。
しうちゃん、さっきと別人……。

「別れてねーし」

ズカズカ歩いて来たベクが私の頭からしうちゃんの手を雑に退ける。

言葉にされなくても分かる。

きっと触んなって思ってる。

ムスッとした顔がヤケに可愛く見えて、駄目だ駄目だって首を振った。

ベクは、なんでこんなにわたしに固執するんだろう。

どう考えても、わたしは最低の彼女だったのに。

そう、最低の……

「ベク、わたし他に好きな人が出来たから。悪いけど、前みたいには戻れない」

自分だけ次に進もうとしないで、

ちゃんとベクを、解放してあげなきゃ。