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「……違います。スカウトされたの逃げた後ですから」
すぐだったな。空港で、行く当て無くて呆然としてたら声を掛けられて、誰かと思えば 少し前にわたしが財布を拾ったおじさんで。
うちで働きなよって軽く言われたから最初は普通の仕事だと思ってたし。
「はっ、やっぱ逃げたんだ」
「…………」
「なあ、さっきから変な喋り方してるけど何？ やっぱおちょくってるんだろ？ 」
「は？ これがソウル特別市出身の話し方なんですけど！ 」
ボイトレと偽って、韓国語の個人レッスンを受けている。
わたしが喋っちゃ駄目なのは、喋ると外人だってバレるからで、だから今頑張って勉強し直してるのに、こいつは変って、変って言った。
ベクに通わせて貰ってた緩く楽しい韓国語教室とは違って、すんごく厳しくて泣きながら勉強した成果なのに。
「変だからそれ、普通に話せよ」
ガーン、、、
「俺、Aの事は自分が出来る限界まで大事にしてたつもりだったんだけど、、、全然伝わって無かったって事だよな」
「っ、それは、分かってた。分かってたもん」
わたしが自惚れるくらい、ベクがわたしの事 大好きなのは十分に伝わってた。
「分かってたら、あんな小さい事で離れたりしないだろ！ 」
胸がズキッとしたのは怒鳴られたからじゃない。
今、泣きそうなのも怒ったベクの顔がコワイからじゃない。
「……わたしにとっては、全然小ちゃくない。全然、小さい事なんかじゃ無かった」
悔しい。
ただ、悔しくて泣きたくないのに涙が流れてしまう。
「愛してるって言われた数日後に、おんなじ言葉、他の女に言ってる事知って、平然でいられると思う？ 」
「それが顔も名前も分かんない過去の女なら、わたしだって知らないふりして笑っていられた」
「でも違うでしょ？ ベクが好きなのは わたしなのに、ベクの彼女は わたしなのに。世界中の人は、みんっな、ベクの彼女は、、、ベクが愛してるのは、あの人だって思ってるんだもん」
「そんな、、、もうそんなの昔の「嫌だった。無理だった。我慢出来なかった。わたしのなのに、他の人のものみたく言われるの、耐えられなかった」
些細な事で何度も泣いた。
だけど、この事に関しては、聞きたくない物を聞いた後、直ぐに感情に蓋をしてしまったから、うずくまってた物が今、一気にキテしまっている。
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作者名：115 | 作成日時：2017年5月4日 8時
