ライアーガール〔愛を失くした嘘つきは〕3 (ページ2)

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困ったわたしは、羽織ってたシャツをマネオッパに投げ付け、その隙に走って逃げ……ても追い付かれるから、横の階段に身を潜めた。

「ライア！」

案の定、逃げられたと思ったマネオッパは、シャツを顔から剥がしパタパタと走っていく。

「セ、セーフ。後は時間まで見つからなかったら、そのままリハーサルで本番で」

よし、何とかなる。
この際、他の出演者への挨拶は諦めるしかない。

こんなに大勢いるんだし、今日くらい何とかなるでしょ。

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「さ、寒い」

いくら夏目前とはいえ、この格好で日が当たらない階段にいるのは無理があった。

時計も無いし、時間が分からない。

恐る恐る階段の外へ出て廊下を進んで行く。

みんなのいる楽屋前を通ると、相変わらずジミンとグクが楽しそうに話してる。

ジミンーっ、助けてよー。

うー……とりあえずマネオッパに見つからなきゃいい話だから、建物の中をグルグル回っていよう。

「なんかいい方法無いかな……、猫にしたいなら、もう被り物でも持って来てくれたらいいのに」

「今日ちゃんと歌えるかまで心配になって来た。ヤバい、ヤバい。どうしよう、まさかこんな早く……」

下向き加減で、存在を消しながらテクテク歩く。
この修行はいつまで続くのか、壁にある時計を見ても時間が経つのが遅すぎる。

そんな時だった。

「は！！！こ、これは！」

昔わたしがどハマりしていつも食べていたお菓子、ロッテのガトーが廊下に無造作に置かれている。

「なんでこんなとこに！？」

と、不思議に思いつつ手は伸びる。

ずっとずっと、禁じられていたお菓子。
お肉とお酒が解禁された今でも、お菓子だけは禁止されたまま。

ピンチの後ろにチャンスが隠れているとは本当だった。

神様からのプレゼント。

きっと、食べていいよって言う。

天に向かって手を合わせようと目線を上に上げた時、数メートル先に再び同じ袋が落ちているのが目に入る。

駆け寄ると、またガトーが！

「な、なんで～」

と思いつつ、また手に取る。

あ！差し入れなのかな。
きっと運んだスタッフさんが慌てて、落として行っちゃったんだ。

ペリッと封を破って、禁断のその焼き菓子を頬張った。

「おいひい……」

幸せ。

モグモグ。

あ、もう無くなっちゃった。

このもう１つは、こっそり持って帰って家で……

と思った先に、また１つ廊下に落ちたガトーを見付けた。