ヘンデルとグレーテル ページ1
最高の晴れ舞台。大きなステージ、大勢の観客。
豪華な出演者達。
その中の1人に自分がなれたという事に、嬉しさが募る。
和気あいあいと楽しそうなジミンや皆んなを見ながら、少しは近付けたのかなって、ジーンと湧き上がるものがある。
……衣装には疑問しか浮かばないけど、
まぁ、目立つし。きっと記憶に残りやすいだろうし。
何よりも、慣れた。このピタピタ具合に。
「よし、挨拶行くぞ」
「はーい、、、あ、上に何か羽織っていい？ 」
マネオッパの了解を得てスタイリストのお姉さんにシャツを借り、先に楽屋を出たマネオッパの後を追う。
「多いからなー……どこから行くかな」
「近くからでいいじゃん」
「うーん、やっぱ大御所からか？ 」
出演者名簿を見ながら歩くマネオッパの横を頭に生えてる耳の向きを直しながら歩く。
「よし！ EXOから行くぞ」
「は！？ 」
「は？ って何だよ。 は？ って」
「き、今日、いるの？ だって、出演者欄には書いてなかった……」
「書いてるぞ、ほら」
壁に貼られた広告に、どこのグループよりもデカデカと載るEXOの文字。
出演者欄外にあるせいで、わたしは主張し過ぎてるその文字を見落としていた。
「い、いや。行かない」
「駄目だ」
「だ、だって、ほら、オッパ不味いでしょ、わたし。今日なんかモロ猫なのに。あのユニットの本人達もいるし、絶対やめた方がいいよ」
「コソコソしてもしょうがないだろー。堂々と、こっちが先だって顔しとけば大丈夫って事に俺は気付いたんだ」
そんな無茶な。
無茶苦茶にも程がある。
っていうか、無理。
挨拶とか絶対無理。
「よ、よく知らないけど、あの色白の爽やかな癖に部屋が汚そうな人とかが握手求めて来そうだし」
「よ、よく知らないけど、目と耳が大きいハッピーウィルスとか言って実は心に闇抱えてそうなデカイのがハグとかして来そうだし」
「よ、よく知らないけど、バブルティ飲んでバブバブ言ってるマンネに年下は興味ないって目で見られそうだし」
「ほんっと、よく知らないけど、眠そうに目を擦って腰にチキンぶら下げてる黒いのが「ここで何してんの」とか言って来そうだし」
「詳しいな……お前、実はエクセルか？ 」
「違う！ 」叫ぼうとしたら、番組のスタッフさんが通って慌てて飲みこむ。
喋っちゃ駄目。絶対駄目。
……喋らなければ平気？
『これくらい食べれるよね？ 』
だ、駄目だ。
あの目は、絶対…………
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作者名：115 | 作成日時：2017年5月4日 8時
