【HQ】ウシワカの許嫁。

16話 ページ17

少し天童さんと談笑をしていると、瀬見さんが天童さんに何かを耳打ちした。2人の会話内容は聞こえず、頭の上にハテナマークを浮かべていると天童さんが「アッ！！」と急に言い出した。


「それじゃあAちゃん、俺らは練習に戻るね〜」
『？はい』


誰かから逃げるように足早にコート内へと戻っていく天童さん。一体誰から逃げてるのやら…。と思ったら、休憩中の牛島さんが隣にやって来た。


「ただ観てるだけでは、退屈じゃないか？」
『えっ』


急にそんなことを言われると誰だって戸惑うだろう。現に私も戸惑っている。退屈…？何でそんなことを聞くのか。悶々と1人で考えていると、思い当たる節があったので口を開いた。


『退屈じゃないですよ。汗を流しながら、必死に勝利にしがみつく白鳥沢の皆さんのバレー大好きです！』
「…そうか。それなら良かった」
『？』


本心を言うと、牛島さんは柔らかく笑いながら私の頭を撫でた。いきなりのスキンシップに呆気に取られている私なんかお構い無しに、練習へと戻る牛島さん。撫でられた頭を手で抑えながら、徐々に顔に熱が集まってくるのが分かった。私今撫でられたんだよね？牛島さんに？

頭の中でもう1度そのシーンが蘇る。


『！？』


う、牛島さんに触れられた！？まだ手も繋いで無いのに！？……いや、それはあまり関係ないか。

でも今まではこんなこと無かったのに…！
暫くまともに牛島さんを直視出来ない気がする。

頭を撫でられただけで顔を赤くしながら落ち着きの無い様子で佇んでいるのを、白鳥沢メンバーは見逃さなかった。


「えっ、もしかしてチューまだなのかな？」
「いや流石にキスはまだだろ…って今それは関係ないだろ！」
「でもあの神崎さんの反応を見る限り、手も繋いだ事ないんじゃ…」
「……若利なら有り得るな」


大平の一言でその場に居た牛島以外のメンバーは頷いた。

17話→←15話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す