・ ページ7
「お前、この前も言い寄ってきた人間がとんだ詐欺師だったじゃないか。あのままだと詐欺師の片棒を担がされるところだったんだぞ」
鬼太郎は腕組みをしながら厳しい視線をAに向ける。
Aは自他共に認めるイケメン好きだ。元々警戒心がないわけでも頭が悪いわけでもないが、見目の良い男が絡むと途端に騙されやすくなるのが玉に瑕である。なお、鬼太郎も美しい女性に弱いところがあるため他人のことをとやかく言える立場ではない。
「でもよぉ、アレは未遂に終わったじゃねーか」
「それは僕が気付いて猫娘たちと止めたからだっ！」
鬼太郎が語気を強めて突きつける。
Aが色男にうつつを抜かしているとき、なぜか鬼太郎が間に入ってくるのがデフォルトとなっている。どこかで聞きつけたのか、はたまた偶然なのか、それは鬼太郎のみぞ知る。
「そ、そんな怒らななくたっていいだろ！それに、相手はただの店員だぜ？どうにかなるワケじゃあるめぇし…」
「今後そこに行くときは、僕か猫娘と一緒に行くからな」
「何でだよー」
否応なしのツンとした鬼太郎の態度に、Aが首を傾げていると、突然家に猫娘が飛び込んできた。
「鬼太郎！居る！？」
息を切らして慌てた様子の猫娘とは対照的に、鬼太郎やAたちは依然としてのんびりとした雰囲気でいた。
「あ、猫娘。ちょうどよかった、今度Aと一緒に、」
「それどころじゃないのよ！！」
猫娘が鬼太郎の言葉を遮り、ちゃぶ台に両手を勢いよく叩きつける。バン！と重たい音と共に、目玉おやじの茶碗風呂が勢いのあまりひっくり返ってしまった。そのためお湯が溢れ、目玉おやじ自身もちゃぶ台から落ちそうなる。
「こ、こら！もっと静かにせんか！お転婆じゃのぅ〜…」
目玉おやじが猫娘に注意をするが、彼女はそれどころじゃないと再び言わんばかりに目玉おやじに向かって叫んだ。
「で、出たのよ！妖怪が！」
猫娘の言葉に鬼太郎とAがいち早く反応した。
「妖怪が？」
「妖怪がか？」
「そう！人間の街に！」
二人は見合わせて首を傾げる。人間界に溶け込む妖怪はいるが、大抵の場合姿を表さないことが多い。みなそれぞれの形で馴染んで静かに暮らしている者が殆どだ。しかし猫娘の様子を見る限り、どうやら只事ではなさそうだ。
「何じゃと…！？」
目玉おやじも緊迫した様子をようやく感じ取ったのか、猫娘からの情報を聞く姿勢になった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃 - 新しい話読ませてもらいました！この小説の夢主の性格が他の夢主と違う所がすごく好きです！無理せずマイペースにこれからも頑張って下さい(*^^*) (4月5日 12時) (
レス) id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - 瑠璃さん» ありがとうございます！まさか読んでくださる方がいると思っていなかったため、とても嬉しいです。マイペースに頑張ります！ (4月4日 11時) (レス) id: 6d88c11cf9 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 今まで読んだ5期の夢小説の中で、一番好きです！これからも応援しています！ (4月4日 11時) (レス) @page29 id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はなこ | 作成日時：2024年3月28日 1時
