妖怪の棲む街 ページ6
人間が暮らす街で、とある少年が行方不明になった事件が起きているらしい。しかも、その少年は風呂場から忽然と姿を消したとのこと。現場には争った形跡や破損はなく、ただ浴槽に深緑の藻のようなものが残っているだけだった。
そんな不可思議な事件が人間界で起こっていることなどつゆ知らず、鬼太郎とA、目玉おやじはのんびりと彼らの家で過ごしていた。
「父さん、湯加減はどうですか？」
用意した茶碗に湯を張り、それを風呂にして入る目玉おやじ。湯は確かに温かいが、温度が物足りない。
「はぁ〜ぬるすぎじゃ。ちっとばかり熱くしてくれんかのぅ」
「はい」
鬼太郎は目玉おやじの要望通り、囲炉裏から鉄瓶を取って煮え立つ湯を風呂へと注ぎ足した。だが、どうやら目玉おやじには温度が高すぎたようで、顔を赤く染め「あちあちあちッ！」と悲鳴を上げて湯から飛び跳ねた。
「オイ大丈夫かおやじ？いまかき混ぜるよ」
箸を手に取り、Aがくるくると茶碗の中の湯をかき混ぜる。
「どうですか？」
「水足そうか？」
鬼太郎とAが目玉おやじの様子を窺う。彼女がかき混ぜたことで下に沈んだぬるま湯と熱い湯がうまく混ざったのか、暑がることはなかった。
目玉おやじは今度こそ丁度いい湯加減で身体を伸ばし、一息つく。
「大丈夫じゃよ。まぁ贅沢を言うならば白湯もいいが、この前の…」
「紅茶風呂のことでしょう？」
「そうじゃ、たしかアールグレイの」
それは以前猫娘がAとショッピングへ出かけたときにお土産として選んできた少しお高めの紅茶である。彼女としては飲んでもらうために買ってきたのだが、鬼太郎は何の疑問も抱くことなく目玉おやじの風呂として使用したのだ。
「あーあのティーバッグのやつか。あれなら、種類覚えてるし、あたしが今度買ってくるよ」
「はは、すまんのぉ」
Aの提案に目玉おやじは喜び、笑みを深める。
「種類って、そんなにあるのかい？」
「売ってる店や会社によって味も香りも微妙に違うらしいぜ？」
「そうなんだ。人間はすごいなぁ」
古来から工夫と革新を繰り返し、繊細なモノを作り上げている人間に鬼太郎が素直に感心していると、Aは思い出したように口を開いた。
「あ！そうそう、そこの紅茶の店の店員がさ？すんごい色男でよぉ〜」
「お前、もしやそれが目的だな？」
だらしなく頬を緩めるAに、鬼太郎はムッとして眉を顰めた。
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瑠璃 - 新しい話読ませてもらいました！この小説の夢主の性格が他の夢主と違う所がすごく好きです！無理せずマイペースにこれからも頑張って下さい(*^^*) (4月5日 12時) (
レス) id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - 瑠璃さん» ありがとうございます！まさか読んでくださる方がいると思っていなかったため、とても嬉しいです。マイペースに頑張ります！ (4月4日 11時) (レス) id: 6d88c11cf9 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 今まで読んだ5期の夢小説の中で、一番好きです！これからも応援しています！ (4月4日 11時) (レス) @page29 id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はなこ | 作成日時：2024年3月28日 1時
