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「なーんて!」

 小夜子はまた昨夜と同じくパッと表情を一変させ、茶目っ気がある笑みを鬼太郎たちに見せた。

「なんだ、冗談ですか…」

 鬼太郎はホッとしたように返事をするが、一方でAは放っておいてはいけないような、何か胸騒ぎがしてならなかった。

「で、ご要件は?例のギター男、やっぱり犯人だったのでしょ?」
「はい。そのことで小夜子さんにお願いが…」


 違和感を感じても、その根拠になるものが無い。Aは気のせいだと自分に言い聞かせ、小夜子への作戦の説明に加わった。




 翌朝、予定通り月野小夜子のコンサートが開かれた。

 ステージ上では一見マスクをした小夜子がヴァイオリンを弾いているように見えるが、実はそうではない。
 ステージ上にいる小夜子の正体は、長髪のウィッグを被り、ヴァイオリンを演奏したフリをしている猫娘だ。マスクも顔を隠すために行っている。露出しているのが目元だけなので、よっぽど目敏い者でないと変装は分からないだろう。

 本物の小夜子はステージの幕裏で、客席のモニターを見ながら演奏している。特殊なスピーカーを通してあたかも猫娘が演奏しているように見せかけているのだ。

 これも全部ねずみ男の作戦であった。


「(夜叉は必ずくる…)」

 鬼太郎は客席の方で夜叉を探し、ねずみ男は裏方で佐竹と様子見、Aは一昨日と同じく小夜子本人のボディガードを行っていた。

「(どこだ、夜叉…、どこにいる…!)」

 鬼太郎がくまなく観客席中を見回していると、突如ギターの妖しげな音色と共にステージのせりが上がった。

「さぁ、一緒に演奏しよう…」

 そう言ってステージに上がったのは、一昨日の晩に鬼太郎が取り逃した夜叉であった。

「猫娘ーッ!!後だ!!」

 鬼太郎が叫び、猫娘に知らせる。彼女は背後を振り返り夜叉をキッと鋭く睨むと「お断りよ!」と手にしていたヴァイオリンを夜叉の頭へと叩きつけた。

「うわぁああッ!?」

 夜叉は頭への衝撃に耐えきれずその場の近くにあったカーテンを掴みながら崩れ落ちる。
 鬼太郎もすぐさまステージへ駆け上り、夜叉の姿を視界に捉える。

「会員ナンバー1番…、小夜たん…萌えぇ…」

 しかし、倒れた彼はもう夜叉のような恐ろしく冷たい気迫を纏っていなかった。彼は小夜子への愛を口にした後、力が抜けたようにフッと気を失ってしまった。

「これは…!」
「鬼太郎!この男は既に魂を抜かれておるぞ!」

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瑠璃 - 新しい話読ませてもらいました!この小説の夢主の性格が他の夢主と違う所がすごく好きです!無理せずマイペースにこれからも頑張って下さい(*^^*) (4月5日 12時) (レス) id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - 瑠璃さん» ありがとうございます!まさか読んでくださる方がいると思っていなかったため、とても嬉しいです。マイペースに頑張ります! (4月4日 11時) (レス) id: 6d88c11cf9 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 今まで読んだ5期の夢小説の中で、一番好きです!これからも応援しています! (4月4日 11時) (レス) @page29 id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はなこ | 作成日時:2024年3月28日 1時

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