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「さらに恐ろしいのは愛する気持ちが憎しみに変わった時じゃ」
「どう言う意味だよ?」とねずみ男が聞く。
「魂を取り返された夜叉の怒りが暴走して直接彼女を狙うかもしれんということじゃ」
目玉おやじから告げられる危険性に、猫娘や鬼太郎の表情が強張った。
「そんな!」
「確か、明日はコンサートでしたね」
鬼太郎は怯えていた佐竹に声を掛ける。鬼太郎の質問の意図をすぐさま理解した佐竹は、不安げな表情を浮かべた。
「はい…、まさか、中止しろと?」
「残念ですが、いま大勢のファンの前で演奏するのは危険すぎます」
小夜子自身も、大勢のファンの命も危険に晒すことになる。会場のどこから夜叉が襲ってくるか分からないまま、コンサートを開くことは難しいだろう。
佐竹と鬼太郎、両者の意見がまとまらずにいると、突然にねずみ男が「ちょっと待った!」とビビビッと閃いた。
「コンサートは予定通りに開けばいい!」
「し、しかし…」
「心配御無用!俺にビビビッ!ていい考えが浮かんだのよ!」
ねずみ男が考えた作戦が採用されて、それを伝えるべく鬼太郎とAは小夜子の自室を訪れることにした。
コンコン、と鬼太郎がドアをノックする。間も無く部屋から「どうぞ」と小夜子の許可が降りたので、鬼太郎はドアを開けた。鬼太郎たちが入ろうとした瞬間、いつのまにかいたねずみ男が「お邪魔します〜!」と下心ありありの表情で一緒に入ろうとしたため、鬼太郎はAと部屋に入ったと同時にねずみ男が入れぬようバタンと扉を強く閉めた。
ねずみ男は扉に顔面を強打したが、鬼太郎は気にせず小夜子に話しかけた。
「練習中でしたか?」
「いえ、今は占いをしていました」
「占い?」
小夜子が座る机の上には、タロットカードが数枚広げられていた。
「タロット占い。私、運命とか不思議な力とか、割と信じるほうだから」
「へぇ、よく当たるのか?」
「えぇ。ふふ、スピリチュアルなことって好きなタイプなの」
鬼太郎は意外だという表情を浮かべて小夜子に言った。
「天才少女の意外な一面ですね」
その何気ない言葉を皮切りに、小夜子は俯きがちに口を開いた。
「私天才なんかじゃない…。寧ろ、他の人より全然劣っていたの。いるでしょ?いくら努力しても全く芽の出ない人間って」
「えっ……」
昨夜のあの陰がある表情を彷彿とさせる小夜子に、Aはどこか妙な違和感と気配を感じた。
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瑠璃 - 新しい話読ませてもらいました!この小説の夢主の性格が他の夢主と違う所がすごく好きです!無理せずマイペースにこれからも頑張って下さい(*^^*) (4月5日 12時) (レス) id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - 瑠璃さん» ありがとうございます!まさか読んでくださる方がいると思っていなかったため、とても嬉しいです。マイペースに頑張ります! (4月4日 11時) (レス) id: 6d88c11cf9 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 今まで読んだ5期の夢小説の中で、一番好きです!これからも応援しています! (4月4日 11時) (レス) @page29 id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はなこ | 作成日時:2024年3月28日 1時