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不意にがしゃどくろの動きが止まったと思ったら、今度は彼の頭蓋骨がガクガクと揺れ始めた。

「な、なんだ…!?」

 揺れる頭蓋骨の中からも、カンカンッ!と何か固いものを叩きつける音がする。一同が不安げにがしゃどくろを見ていると、彼の頭蓋骨が内側から割れて大きな穴が空いた。

 その空いた穴の中からは、がしゃどくろに生気を吸い取られた者たちの体が雪崩のように地面に落ちてくる。もちろんその中には干からびた鬼太郎の身体もあった。
 鬼太郎が身につけていた霊毛ちゃんちゃんこの内側から魂が出る。するとそれは、彼の身体にすとんと戻っていった。魂が戻った鬼太郎の身体は徐々に生気を取り戻し、元の健康的な肉体へと変わる。身体が完全に回復すると、鬼太郎は何事もなかったかのように立ち上がった。

「おぉ〜ッ!鬼太郎!!」

 死んだと思っていたが元通りになった息子の姿に目玉おやじは歓喜の声を上げた。
 
 一方でがしゃどくろは頭蓋骨に大穴が空いたせいで自身の身体のコントロールがうまくいかないのかその場に固まってしまっていた。鬼太郎はがしゃどくろに向き合うと、「これでもう身体を保てないだろう?」と声を掛けた。

「鬼太郎!」
「A、分かっているよ」

 Aの言わんとしていることに鬼太郎は頷くと、彼は自身の毛針を一本手に取る。そしてそれを妖気で太く長くさせて槍のようにすると、がしゃどくろの額目掛けて投げ放った。毛針は見事にがしゃどくろに命中し、ガラガラと大きな音を立てて彼の身体は地へと崩れていく。

「やったー!!」
「やったやった〜!!」

 向こうではねずみ男と猫娘が両手を挙げて大喜びする。しかし、ねずみ男が「さすが長年の我が親友だよ!」と鬼太郎を称賛すると、その都合の良さに猫娘が「調子いい!!」と激怒して彼の顔を思い切り引っ掻いた。

 未だに取っ組み合いになっている二人をよそに、目玉おやじが鬼太郎たちに駆け寄った。

「鬼太郎〜!」
「心配をかけてすいません父さん。ねずみ男の言葉がヒントになったんです。捕まった瞬間にちゃんちゃんこの中に魂を隠してわざと生気を吸わせたんですよ」
「なるほど!そして、魂の霊力で下駄を操り頭を内側から砕いたんじゃな!」

 それは鬼太郎だからこそできた技だった。Aは去った脅威にほっと息を吐く。

「Aも心配かけたね。みんなを守ってくれてありがとう」
「ったく、心配させやがって!まあ、お前が無事で良かった」

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瑠璃 - 新しい話読ませてもらいました!この小説の夢主の性格が他の夢主と違う所がすごく好きです!無理せずマイペースにこれからも頑張って下さい(*^^*) (4月5日 12時) (レス) id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - 瑠璃さん» ありがとうございます!まさか読んでくださる方がいると思っていなかったため、とても嬉しいです。マイペースに頑張ります! (4月4日 11時) (レス) id: 6d88c11cf9 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 今まで読んだ5期の夢小説の中で、一番好きです!これからも応援しています! (4月4日 11時) (レス) @page29 id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はなこ | 作成日時:2024年3月28日 1時

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