・ ページ28
「えぇっ!?ねずみ男を助けに行くですって!?」
「あぁ。放っておけないからね」
鬼太郎の答えに猫娘はひどく驚いた顔をした。
彼らは現在ねずみ男がいる会社の裏口前にいる。Aはというと、警備員のアルバイターとして先に潜入し、鬼太郎たちが侵入できるように社内で工面していた。
元々は鬼太郎と目玉おやじ、そしてAだけで妖怪退治をする予定であったが、偶然通りがかった猫娘と合流して今に至る。
「鬼太郎もAもお人好しよ!あんな人間に媚を売った成金のために動こうとするなんて!罪もない人たちが魂を奪われてるのはたしかに見過ごせないけど…、でもそれにしたってアイツや身勝手な人間の自業自得じゃない!」
元々は刑場で亡くなった罪人たちのために祠が建てられていた。だが、それは社長である根津によって土地と共に買い取られ、取り壊されてしまった。今回の事件は、魂を軽んじた人間への罰と言っても過言ではない。
「なんで、あんなヤツ…」
「君だって、Aとよく喧嘩するだろう?」
「え?そりゃあ、喧嘩はするけど」
「喧嘩をして、もうあいつの顔も見たくないと思ってた時に、Aが危ない目に遭っていたら、君は助けに行くかい?」
「もう鬼太郎ったら!それが何だって言うの!?」
唐突に訳のわからない質問する鬼太郎に猫娘は焦ったくなり、叫ぶように彼に言う。しかし鬼太郎は顔色を変えずに猫娘に問い掛けた。
「それで?どうするんだい?」
「もちろん助けに行くわよ!Aは私の親友だもの!喧嘩中だって放っておけるわけないじゃない!」
猫娘は当たり前だという様子で答える。鬼太郎はその答えを聞き、彼女に向かって穏やかに笑って見せた。
「それと同じだよ」
「え…ッ?」
「どんなに勝手でも、僕らを騙すような奴でも、それでもねずみ男は友達だ。放ってなんておけないよ」
鬼太郎との絆の深さに、猫娘は何も答えることができなかった。彼の話を髪の毛の中で聞いていた目玉おやじも「お人好しじゃのぅ…」と呟いている。
彼の言い分が分かるような、分からないような、感情をグルグルさせていると、ちょうどAが裏口から「おーい!」と顔を出した。
「これで入れるぜ!ついでに防犯カメラも…って、あれ?猫娘も来たのか?」
「〜〜ッお人好しなんだから!さっさと助けに行くわよ!!」
どこか怒っている様子の猫娘に、Aは首を傾げた。
「あいつ何で怒ってるんだ?」
「さぁね」
3人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃 - 新しい話読ませてもらいました!この小説の夢主の性格が他の夢主と違う所がすごく好きです!無理せずマイペースにこれからも頑張って下さい(*^^*) (4月5日 12時) (レス) id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - 瑠璃さん» ありがとうございます!まさか読んでくださる方がいると思っていなかったため、とても嬉しいです。マイペースに頑張ります! (4月4日 11時) (レス) id: 6d88c11cf9 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 今まで読んだ5期の夢小説の中で、一番好きです!これからも応援しています! (4月4日 11時) (レス) @page29 id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はなこ | 作成日時:2024年3月28日 1時