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鬼太郎とAが妖怪横丁に追いつく頃には、ねずみ男の車はすでに遠くの方は行ってしまった。小さくなるねずみ男の車を眺めながら、砂かけ婆と子泣き爺が話す。
「あれで中身は人間のつもりかねあいつは」
「半分妖怪、半分人間じゃ。悪いところは、ま、人間似じゃなぁ」
二人の会話をAと鬼太郎が険しい表情で聞き流していると、不意に彼女らの服の裾が何者かによってクイッと軽く引っ張られた。鬼太郎たちはその方向に目線を向けると、水辺の妖怪であるかわうそが何か言いたげな目でこちらを見上げていた。
「どうしたんだい、かわうそ」
「いま、アイツからちょっとだけ死の匂いがした」
アイツ、というのは言わずもがなねずみ男のことだった。嫌な胸騒ぎが現実味を帯びてきたその発言に、Aはすかさずかわうそに聞き返した。
「そいつはホントか…!?」
「うん、すっごくイヤな匂いだったぞ」
確実に何らかの妖怪が絡み、そして命の危険に晒されている。鬼太郎たちは、そう思えてならなかった。
*
「え?この地区の地図ですか?」
「そう、江戸時代とか、それぐらい昔の」
「はぁ…、」
司書の男が怪訝な様子でAと鬼太郎を見るが、彼女たちにはそれを気にする暇はなかった。
ねずみ男との一件から数日、彼の働く会社のビルで複数名がまるで干からびたような極度の栄養失調の状態で倒れているのが発見された。周囲のビルで働く者や近所で暮らす住民にはそのようなことはなく、倒れたのはそこの従業員だけであることが人間への聞き込みで明らかになった。
倒れた者は皆至って健康体だった。となれば、これは妖怪の仕業であるという線が濃厚になってきた。
そのため、Aと鬼太郎は妖怪の実態を明らかにすべく、こうして図書館へと手掛かりを掴むためにやってきたのだ。
「あぁ、どうやらあるみたいです。ただいま係の者に案内させますね」
「どうも、ありがとうございます」
司書がパソコンを使って蔵書検索をかけ、その結果を印刷する。それを案内係に渡してAたちは目的の図書へと案内させられた。
地理・歴史のコーナーにあったその本を職員から手渡され、受け取り次第Aと鬼太郎はすぐに索引から該当するページを探し、地図を見た。
「これは…!」
「やっぱりな」
彼が働くビルがあった場所は、案の定「刑場」と記されていた。刑場とは、今で言う処刑場である。
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瑠璃 - 新しい話読ませてもらいました!この小説の夢主の性格が他の夢主と違う所がすごく好きです!無理せずマイペースにこれからも頑張って下さい(*^^*) (4月5日 12時) (レス) id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - 瑠璃さん» ありがとうございます!まさか読んでくださる方がいると思っていなかったため、とても嬉しいです。マイペースに頑張ります! (4月4日 11時) (レス) id: 6d88c11cf9 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 今まで読んだ5期の夢小説の中で、一番好きです!これからも応援しています! (4月4日 11時) (レス) @page29 id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はなこ | 作成日時:2024年3月28日 1時