検索窓
今日:20 hit、昨日:10 hit、合計:835 hit

ページ26

温度が高い湯をいきなりかけられたため、ねずみ男は驚きとその熱さに声を上げた。

「あッ、あ、あッちぃ…!!?お、おやじ!何しやがる!」
「とっとと帰れ、ねずみ男!人間界に馴染むのと、人間に媚びるのは全く違うわい!お前みたいにプライドのない妖怪を見るのは不愉快じゃ!!」

 目玉おやじの言い分に、ねずみ男は言い返そうとしたが言い淀んでしまった。ほとんど目玉おやじの言ってることは正論だったからだ。
 ねずみ男が何も答えられずにいると、それに被せるように鬼太郎も「父さんの言う通りだ!」と口を開いた。

「お前とは長い長い付き合いだから念の為にきちんと言っておくよ、ねずみ男。たしかに人間の文明の多少妖怪じみてきたようだけど、まだまださ。人間の真似をして調子に乗っていると、お前も必ず痛い目に遭うぞ」


 鬼太郎の表情は真剣そのものだった。ねずみ男はゴクリと唾を飲みながら、Aに助けを求めるように彼女を見る。しかし、彼女も鬼太郎と同意見ようで、黙って頷くだけだった。
 悪事をしているわけではない。寧ろ友人である鬼太郎やAたちのためを思って勧誘したのに。ねずみ男は悔しさから虚勢を張って笑って言い返した。

「へ、へへーんだ!お、おめぇらのそういうところが昔っから好かねーんだよ俺は!いつもいつも正義の味方気取りでさ!」
「正義なんかじゃない!」
「え…ッ?」

 鬼太郎はねずみ男を射抜くようにまっすぐ見る。

「友達だから言うんだ…!」

 予想外のその言葉に、ねずみ男は何も言えなくなった。

「あたしも、親友のよしみで言うよ。お前が心配なだけなんだよ、ねずみ男。悪いことは言わねぇ、さっさと手を引くんだ。まだ引き返せるうちに」

 Aも鬼太郎と同様にねずみ男の肩に手を置いて語り掛ける。しかし、今のねずみ男にはそれが自分を哀れんでいるようにしか聞こえなかった。堪らず彼は彼女の手を振り払い、「クソ!おめぇらに話した俺が馬鹿だったよ!」と捨て台詞を吐いて出て行ってしまった。

「あっ、おい!」
「待つんだ、ねずみ男!」




 ねずみ男が妖怪横丁に戻ると、彼の車は子泣き爺を筆頭とする妖怪たちの玩具にされていた。そのぞんざいな車の扱い方ゆえ、ねずみ男が車のそばに走り戻る頃には既に半壊状態となっていた。

「こんな貧乏横丁!二度と来るかぁぁああッ!!!」

 完全に壊される前に、ねずみ男は激怒しながら車に乗り込んで横丁を走り去っていってしまった。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
設定タグ:ゲゲゲの鬼太郎 , 5期
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

瑠璃 - 新しい話読ませてもらいました!この小説の夢主の性格が他の夢主と違う所がすごく好きです!無理せずマイペースにこれからも頑張って下さい(*^^*) (4月5日 12時) (レス) id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - 瑠璃さん» ありがとうございます!まさか読んでくださる方がいると思っていなかったため、とても嬉しいです。マイペースに頑張ります! (4月4日 11時) (レス) id: 6d88c11cf9 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 今まで読んだ5期の夢小説の中で、一番好きです!これからも応援しています! (4月4日 11時) (レス) @page29 id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:はなこ | 作成日時:2024年3月28日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。