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「とっておけよ小豆洗い」
ねずみ男は万札を小豆洗いに投げつけるように渡し、彼の店頭に並んだ饅頭を1つ手に取った。自身の車に寄りかり、ねずみ男がそれを頬張っているところで、鬼太郎が声を掛ける。
「ねずみ男、お前……」
「随分な変わりようじゃねぇか…!」
あまりの変化についていけず、鬼太郎たちはひどく驚いて唖然としていた。ねずみ男は鬼太郎たちに気づくと、調子良く挨拶をしてみせる。
「よ!我が友鬼太郎ちゃんにAちゃん!」
笑顔すらいつもの三割り増しの明るさに彼らは戸惑いを隠せなかった。
「なんだ?その格好は」
「おいおい、このリッチな姿を見て分かんねーのか?」
そう言ってねずみ男は鬼太郎たちに意気揚々と説明をしてみせた。
「勝ち組になったんだよ!俺!ゴミ捨て場で見つけた一台のノートパソコンが俺の運命を変えたんだ!」
ねずみ男の話によると、街や森を潰して大型ビルを次々と建設し大儲けをしている悪徳業者の社長、根津三男という男をゴミ捨て場のパソコンを知ったことが全ての始まりらしい。彼の評判は有名で、妖怪の砂かけ婆すらもその悪評を耳にするほどだ。
ねずみ男はその男にビビビッと運命的なモノを感じ、パソコンのメールに自身の自己紹介とビジネスプランを添えて彼にアプローチした。根津もそれに興味を示し、さらに実際に会ったことによりすっかり二人は意気投合し、ねずみ男は根津の甥として彼の会社で部長としてのポストをもらい働くことになったとのことだ。
「今じゃご覧の通りだよ」
「にわかに信じられねぇな…」
「どうだいA、俺の嫁にこねぇか?そうすりゃ部長夫人として将来安泰だぜ!」
ねずみ男は懐から一本の薔薇を取り出し、気障ったらしくAに差し出す。隣にいた鬼太郎もギョッとした様子でねずみ男とAを交互に見る。しかし、今の有頂天のねずみ男の言葉は信用に値せず、彼女は呆れて彼の頭を小突いた。
「アホか」
「いでっ!」
「あのなぁ、ねずみ男。悪の栄えた試しなしって言うだろ?その辺で身を引いた方が良いと思うぜ」
こんなにとんとん拍子で話がうまく進むなどおかしい。何が胸騒ぎがしてならないのだ。同じ半妖半人として、友達として、Aはねずみ男に忠告する。しかし、彼は聞く耳を全く持たなかった。
「ケッ!なんだよA!おめぇ、逃がした魚は大きいってことを今に知るぜ!」
悪態をつく彼に、Aは溜め息をついた。
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瑠璃 - 新しい話読ませてもらいました!この小説の夢主の性格が他の夢主と違う所がすごく好きです!無理せずマイペースにこれからも頑張って下さい(*^^*) (4月5日 12時) (レス) id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - 瑠璃さん» ありがとうございます!まさか読んでくださる方がいると思っていなかったため、とても嬉しいです。マイペースに頑張ります! (4月4日 11時) (レス) id: 6d88c11cf9 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 今まで読んだ5期の夢小説の中で、一番好きです!これからも応援しています! (4月4日 11時) (レス) @page29 id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はなこ | 作成日時:2024年3月28日 1時