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「観念しろ!水虎!もうお前に、逃げ場はないぞ!水場は全て封じてある!」
一反もめんによって屋上へ上がった鬼太郎は、白石とAの前に立ち、水虎と対峙する。
「鬼太郎!」
「はい!」
目玉おやじの呼びかけに、鬼太郎は自身が身につけている霊毛ちゃんちゃんこの紐に手を掛けた。
対する水虎は、逃げ場に繋がる水場が全て封じられ、姿を保てなくなったのか、姿を液体から本来の姿である大柄な河童のような容姿に変身した。身体や頭頂部は河童の特徴にそっくりであるが、その顔は名前の通り虎のように恐ろしい。
鬼太郎はA、子泣き爺、砂かけ婆、猫娘に目配せをする。各々がそれに頷くと、鬼太郎はちゃんちゃんこの紐を解いて脱いだ。それとほぼ同時に、水虎が襲い掛かる。
「ウガァァァァアッッ!!!!」
「っ!」
脱いだ霊毛ちゃんちゃんこは元の大きさの倍以上に広がり、そのまま水虎の顔を覆って視界を塞いだ。
「やったぞ!幽霊族先祖代々の霊毛で出来た無敵のちゃんちゃんこじゃ!いかに水虎といえども…!」
水虎は視界を塞がれたことによって体勢を崩してしまい、前のめりに倒れ込もうとする。その巨体が白石を覆い潰す前に、猫娘とAは彼を数メートル横の場所に避難させた。
「子泣き爺!頼む!」
「おんぎゃあ!!」
子泣き爺は鳴き声をあげると共に、瞬時にその全身を石へと変化させ、水虎の頭にドシン!と落ちた。白石は子泣き爺をただの小柄な老父だと思っていたため、その能力に目を白黒させる。
「子泣き爺は泣くとすごい重さになるのよ!」
「あぁ!簡単には逃げられねぇぜ」
猫娘のAの説明通り、子泣き爺が水虎の頭部に乗ったことによって、見る見るうちに屋上の床がメキメキと鈍いを立ててひび割れていく。
「よしいいぞ!おばば、例の砂を!」
「待ってたよ…、おばば特製の砂を受けてみろッ!」
砂かけ婆は脇に置いた壺を倒し、水虎の体に向かって大量の砂を放射した。
「これでどうだ!」
砂に覆われた水虎は唸り声を上げ、苦しげにのたうち回る。
「す、水虎が苦しんでいるよ…!」
「おばばの砂が効いている!」
猫娘と白石の感嘆に、砂かけ婆は得意げに答える。
「当然じゃ!吸水性抜群の鳥取の砂に龍の息を調合した、おばば特製の砂じゃ」
「ひぇ〜…、同じ水妖怪として恐ろしいぜ…」
「お前も家賃を払わんとこうなるぞ」
「ぇえっ!?」
砂かけ婆の脅し文句に、今度はAが身震いをした。
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瑠璃 - 新しい話読ませてもらいました!この小説の夢主の性格が他の夢主と違う所がすごく好きです!無理せずマイペースにこれからも頑張って下さい(*^^*) (4月5日 12時) (レス) id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - 瑠璃さん» ありがとうございます!まさか読んでくださる方がいると思っていなかったため、とても嬉しいです。マイペースに頑張ります! (4月4日 11時) (レス) id: 6d88c11cf9 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 今まで読んだ5期の夢小説の中で、一番好きです!これからも応援しています! (4月4日 11時) (レス) @page29 id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はなこ | 作成日時:2024年3月28日 1時