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「もう3人も攫われた。このままだと…！」
「こっちも大変なんじゃよォ〜！」
言い争いのどさくさに紛れて子泣き爺が棚に上げられた酒瓶に手を伸ばす。あと数センチで手が届きそうになったそのとき、砂かけ婆が彼の頭に砂の入った壺を振り落とした。
「自業自得じゃ！」
「自業自得かのぉ…」
容赦なく叩きつけられた砂の壺は無惨に割れ、砂を撒き散らしながら子泣き爺諸共床に落ちた。涙を流して泣いている子泣き爺が痛ましい。
「お願いよ！鬼太郎がどうしても、おばばの砂が必要だって！」
「相手の妖怪はマジに手強いんだよおばば！」
相手は水があればどんなところからでも襲うことができる強敵だ。インフラが整備されて水が豊かになったこの現代では水虎の行動範囲は限りなく広い。塚を壊した少年たちに留まらず、関係ない人間たちをも襲わないとも限らない。だからこそ、ここで止めなくてはならないのだ。
「…まったく。鬼太郎はお人好しじゃからのぉ」
「まったくじゃからのぅ！」
考える素振りをする砂かけ婆の横で、子泣き爺はタフに立ち上がり、なおも酒を奪おうとする。砂かけ婆も負けじと腕でガードするが、それでも子泣き爺は諦めない。
「どうしたものか…」
「どうしたものでしょうね、お願いじゃから！そんな事より！」
いい加減この攻防に鬱陶しくなったのか、砂かけ婆は先ほどより数倍は大きい砂壺を子泣き爺の頭目掛けて叩き落とした。ガシャン！と大きな音を立てて壺が割れ、子泣き爺は「いったいなぁ、もう…」と泣いて地面に伏した。
「で？一体どんな砂が必要なんじゃ」
厳しい対応を取りつつも、乗り気になった砂かけ婆に猫娘とAは顔を見合わせて喜んだ。
＊
「いいね。今回のことは君達のした事が原因だ。だから、君が始末をつけなくちゃならない」
真夜中のプールサイド。そこで白石は鬼太郎によって胴を縄で括り付けられていた。縄はなぜか彼の胴から屋上へと一本線で繋がっている。白石は横にいるAに目線で助けを求めるが、彼女は肩を竦めるだけだった。
「で、でも、どうしてプールなんかに」
「水虎がどこから追ってくるかはっきりしているからさ」
「え…じゃあ、これは…」
「君に囮になってもらう為だ」
案の定なその答えに白石は顔面蒼白になった。
「え！？ほ、他に方法は…、方法はないの…？」
鬼太郎の妖怪アンテナがピンと立った。
「もう遅いよ。奴が現れた」
「えぇ！！？」
波乱な夜の幕開けだ。
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瑠璃 - 新しい話読ませてもらいました！この小説の夢主の性格が他の夢主と違う所がすごく好きです！無理せずマイペースにこれからも頑張って下さい(*^^*) (4月5日 12時) (
レス) id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - 瑠璃さん» ありがとうございます！まさか読んでくださる方がいると思っていなかったため、とても嬉しいです。マイペースに頑張ります！ (4月4日 11時) (レス) id: 6d88c11cf9 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 今まで読んだ5期の夢小説の中で、一番好きです！これからも応援しています！ (4月4日 11時) (レス) @page29 id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はなこ | 作成日時：2024年3月28日 1時
