・ ページ12
「お前も!加減を知らんがな!」
「ケチくさいこと言うなよぉ」
砂かけ婆が子泣き爺に対して強く言うが、彼は何のそのという様子だ。それを見兼ねた砂かけ婆は子泣き爺が狙っていた酒瓶を取り上げ、長屋の奥の棚へと移動させた。
「あのー…」
白石少年を連れたAと猫娘は本題に入ろうと声をかけるが、構わず砂かけ婆は子泣き爺に嫌味を言い続ける。
「そういう台詞は溜まった300年分の家賃を払ってから言え!」
「さ、300年!?200年の間違いじゃろ!」
「ちょっと…!」
「おーい、おばば。聞こえてるかー?」
「いーや!間違いなく400年じゃ!」
「い、いま100年増えたぞ!聞いたか!猫娘にA、100年増えたぞ100年!!」
こうした砂かけ婆と子泣き爺の言い争いは日常茶飯事だ。こうなれば長くなる。彼女たちをそっちのけで話す二人に、猫娘は頭を抱えそうになった。
「大体Aを見習わんかクソジジイ!同じ住民でもこやつの方が良心的じゃ!」
話のターゲットがAに移ると、白石はちらりと彼女を見上げた。
「お姉さんも、この建物に住んでるの…?」
「ん?あぁそうだぜ。賑やかだろ?ここ」
へにゃりと笑うAにつられて白石も笑を浮かべようとしたが、次の砂かけ婆の発言によって顔の表情が停止した。
「3ヶ月分しか家賃を滞納しとらんからな!」
300年や400年より現実味があるその数字に、思わず白石は少し引いたような様子でAに問い掛けた。
「お姉さんも、家賃滞納してるんだね…」
「………た、たった3ヶ月分だよ」
「お姉さん、お金無いの…?」
「あ、哀れんだ目で見るなよ!たった3ヶ月だぜ?そこのジジイの400年に比べたらほぼ無ぇようなモンだろ!」
見苦しい弁解を白石にするが、地獄耳の砂かけ婆と子泣き爺はすかさずAに向かってブーイングを飛ばした。
「これ!お前も威張るなAよ!そなたも子泣きと同じ穴の狢じゃぞ!」
「わしゃァ200年じゃ!2倍になっとるぞい!!」
「うるせぇ!!おばばはともかくおじじに言われる筋合いはねーよ!!」
ギャーギャーと喚く三人に白石の気が遠くなる。このまま夜明けまでこの言い争いが続くのかと思った矢先、堪忍袋の緒が切れた猫娘が話を強制的に戻した。
「もう!こっちの話も大事なんだけど!!」
「つまり何じゃ、わしらに水虎退治を手伝えというワケか?」
意外にも、砂かけ婆は話をまともに聞いていたようだ。
3人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃 - 新しい話読ませてもらいました!この小説の夢主の性格が他の夢主と違う所がすごく好きです!無理せずマイペースにこれからも頑張って下さい(*^^*) (4月5日 12時) (レス) id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - 瑠璃さん» ありがとうございます!まさか読んでくださる方がいると思っていなかったため、とても嬉しいです。マイペースに頑張ります! (4月4日 11時) (レス) id: 6d88c11cf9 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 今まで読んだ5期の夢小説の中で、一番好きです!これからも応援しています! (4月4日 11時) (レス) @page29 id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はなこ | 作成日時:2024年3月28日 1時