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「お前も!加減を知らんがな!」
「ケチくさいこと言うなよぉ」

 砂かけ婆が子泣き爺に対して強く言うが、彼は何のそのという様子だ。それを見兼ねた砂かけ婆は子泣き爺が狙っていた酒瓶を取り上げ、長屋の奥の棚へと移動させた。

「あのー…」

 白石少年を連れたAと猫娘は本題に入ろうと声をかけるが、構わず砂かけ婆は子泣き爺に嫌味を言い続ける。

「そういう台詞は溜まった300年分の家賃を払ってから言え!」
「さ、300年!?200年の間違いじゃろ!」

「ちょっと…!」
「おーい、おばば。聞こえてるかー?」

「いーや!間違いなく400年じゃ!」
「い、いま100年増えたぞ!聞いたか!猫娘にA、100年増えたぞ100年!!」

 こうした砂かけ婆と子泣き爺の言い争いは日常茶飯事だ。こうなれば長くなる。彼女たちをそっちのけで話す二人に、猫娘は頭を抱えそうになった。

「大体Aを見習わんかクソジジイ!同じ住民でもこやつの方が良心的じゃ!」

 話のターゲットがAに移ると、白石はちらりと彼女を見上げた。

「お姉さんも、この建物に住んでるの…?」
「ん?あぁそうだぜ。賑やかだろ?ここ」

 へにゃりと笑うAにつられて白石も笑を浮かべようとしたが、次の砂かけ婆の発言によって顔の表情が停止した。

「3ヶ月分しか家賃を滞納しとらんからな!」

 300年や400年より現実味があるその数字に、思わず白石は少し引いたような様子でAに問い掛けた。

「お姉さんも、家賃滞納してるんだね…」
「………た、たった3ヶ月分だよ」
「お姉さん、お金無いの…?」
「あ、哀れんだ目で見るなよ!たった3ヶ月だぜ?そこのジジイの400年に比べたらほぼ無ぇようなモンだろ!」

 見苦しい弁解を白石にするが、地獄耳の砂かけ婆と子泣き爺はすかさずAに向かってブーイングを飛ばした。

「これ!お前も威張るなAよ!そなたも子泣きと同じ穴の狢じゃぞ!」
「わしゃァ200年じゃ!2倍になっとるぞい!!」
「うるせぇ!!おばばはともかくおじじに言われる筋合いはねーよ!!」

 ギャーギャーと喚く三人に白石の気が遠くなる。このまま夜明けまでこの言い争いが続くのかと思った矢先、堪忍袋の緒が切れた猫娘が話を強制的に戻した。

「もう!こっちの話も大事なんだけど!!」
「つまり何じゃ、わしらに水虎退治を手伝えというワケか?」

 意外にも、砂かけ婆は話をまともに聞いていたようだ。

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瑠璃 - 新しい話読ませてもらいました!この小説の夢主の性格が他の夢主と違う所がすごく好きです!無理せずマイペースにこれからも頑張って下さい(*^^*) (4月5日 12時) (レス) id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - 瑠璃さん» ありがとうございます!まさか読んでくださる方がいると思っていなかったため、とても嬉しいです。マイペースに頑張ります! (4月4日 11時) (レス) id: 6d88c11cf9 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 今まで読んだ5期の夢小説の中で、一番好きです!これからも応援しています! (4月4日 11時) (レス) @page29 id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はなこ | 作成日時:2024年3月28日 1時

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