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「ぷははぁッ、何じゃこれは…」

 目玉おやじは自身の顔に張り付いた古びた札を見る。古いせいで端が破れたり文字が滲んだりとしていたが、彼にはその札の正体がすぐにピンときた。

「お!あの妖怪は水虎じゃ!」
「水虎?」
「何だそりゃ?」

 鬼太郎は両手で目玉おやじを掬い上げる。

「多分この塚に祀られていたんじゃろう」
「一体、どんな妖怪なの?」

 猫娘は身につけているワンピースのポケットからハンカチを取り出し、目玉おやじに差し出しながら問いかける。彼は出されたハンカチで水に濡れた体を拭いながら、水虎を大まかに説明した。

「ふうむ、河童に似た妖怪じゃ。水のある場所ならどこにでも現れる恐ろしい妖怪じゃよ、ッくしゅん!」

 水に濡れて体が冷え込んだのか、目玉おやじは猫娘のハンカチに向かってくしゃみをした。ハンカチからでろんと伸びた鼻水らしき体液に、Aと猫娘は思わず顔を顰める。

「うげ、…」
「うッ、アンタとんでもないものを呼び出してくれたわね!」

 自分のハンカチを駄目にされた苛立ちをぶつけるように、猫娘は白石にやや強く肘打ちをした。

「ご、ごめんなさい…」

 元はと言えば自分らのせいでこのような事態になったし、猫娘のハンカチも目玉おやじの体液で汚してしまった。そのため彼は何も言えず、じっと涙を流すだけだった。

「さっき皆がって言ってたけど、狙われてるのは君だけじゃないのかい?」
「え…、あっ!」

 少年の失踪、そして彼らの共通点に、妖怪のものと思わしき形跡。点と点が繋がった。

「……どうやら、次の狙いの目星はつきそうだな」
「あぁ」

 夕暮れ時の空では、鴉たちが胸騒ぎを知らせるように鳴いていた。


 白石少年の言葉を頼りに鬼太郎と目玉おやじは黒田少年がいると思われる公園に駆けつけたが、時すでに遅し。そこに黒田少年はおらず、公衆トイレの便器から藻が混じった水が溢れ、地面をしとどに濡らしていた。





「なに、水虎じゃと?また厄介な妖怪を目覚めさせおって。人間の子どもは加減っちゅーもんを知らんからのぅ」

 ここは妖怪横丁の、砂かけ婆が取り仕切る妖怪長屋だ。
 砂かけ婆が長椅子に腰掛け、お手製の砂を混ぜながら厳しい意見を言う。その横では、子泣き爺がそろりと酒へと手を伸ばす。

「うむ全くじゃ…加減ってもの分かっとらんからのぅ、えへ、えへへッ…」

 酒まであと寸前のところで、子泣き爺の手は砂かけ婆が持っていた匙によって叩き落とされた。

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瑠璃 - 新しい話読ませてもらいました!この小説の夢主の性格が他の夢主と違う所がすごく好きです!無理せずマイペースにこれからも頑張って下さい(*^^*) (4月5日 12時) (レス) id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - 瑠璃さん» ありがとうございます!まさか読んでくださる方がいると思っていなかったため、とても嬉しいです。マイペースに頑張ります! (4月4日 11時) (レス) id: 6d88c11cf9 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 今まで読んだ5期の夢小説の中で、一番好きです!これからも応援しています! (4月4日 11時) (レス) @page29 id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はなこ | 作成日時:2024年3月28日 1時

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