出会いと昔話 ページ2
遡ること現在から数十年前。鬼太郎もAもまだ随分と幼かった頃である。
久しぶりに蒼坊主が来るという知らせを目玉おやじから聞いた鬼太郎は、方向音痴の彼が迷わずこちらに到着できるように一足先に途中まで迎えに行くことにした。
鬱蒼としたゲゲゲの森を、鬼太郎の小さな足がトテトテと駆けていく。彼のまだ幼く小さな足裏にはリモコン下駄は少し大き過ぎたようで、少し走りづらそうであった。
慣れた道を進めども進めども一向に見つからない蒼坊主に鬼太郎の不安が高まったところで、ふと強い妖気を感じた。すかさず鬼太郎の妖怪アンテナがピンと張り詰め反応する。近くに来ているのか、どんどん強まるばかりだ。
「誰だ！」
堪らず鬼太郎が声を上げる。それに反応したのか、ガサガサと林が揺れた。姿を見せたのは鬼太郎と同じくらい幼い少女であった。人間とさほど変わらない見た目をしているが、強い妖力は間違いなく彼女のものである。
まだ妖怪と実戦経験など無に等しい鬼太郎は、突如現れた彼女に緊張感を示した。
「おまえは誰だ」
「……A」
少女は居心地悪そうに、おずおずと自分の名前を答えた。
「A…。父さんたちからきいたことがある。おまえ、西洋妖怪だろ」
それはちょうど数日前に目玉おやじから聞いた噂話だ。この日本に西洋妖怪の子供がやってきて何やら悪さをしているという。
まさかゲゲゲの森にいると思わず、鬼太郎は戸惑うがそれを悟られまいようにすぐに警戒態勢に入った。
「西洋妖怪が、この森になんのようだ！」
「はぁ？あ、あたしはただ、迷ってきただけで…」
「嘘だ！」
「うっ、嘘じゃない！ほんとだもん！」
「ッ、近づくな！」
少女が弁解しようと鬼太郎に近づいた瞬間、危害を加えられると思った鬼太郎は咄嗟に髪の毛針を彼女に向かって飛ばした。
慌てて躱したAの足元には、鋭い髪の毛針がいくつも刺さる。それは確実に相手に敵意を持った攻撃であった。
「この森でなにかしてみろ…！おっ、女の子でも許さないからな…！！」
鬼太郎はギッと強くAを睨んだ。
相手は古来より敵とされる西洋妖怪だ。何をされるか分かったものではない。
警戒心を強めるばかりの鬼太郎であったが、対するAは睨まれたことに怯えたのか、目にいっぱいの涙を溜めて見る見るうちにそれを溢れさせた。相手の突然の泣き顔に、鬼太郎は思わずギョッとした。
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瑠璃 - 新しい話読ませてもらいました！この小説の夢主の性格が他の夢主と違う所がすごく好きです！無理せずマイペースにこれからも頑張って下さい(*^^*) (4月5日 12時) (
レス) id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - 瑠璃さん» ありがとうございます！まさか読んでくださる方がいると思っていなかったため、とても嬉しいです。マイペースに頑張ります！ (4月4日 11時) (レス) id: 6d88c11cf9 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 今まで読んだ5期の夢小説の中で、一番好きです！これからも応援しています！ (4月4日 11時) (レス) @page29 id: 2399b502ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はなこ | 作成日時：2024年3月28日 1時
