鏡よ鏡，どうか答えておくれ

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土井side


ｺﾝｺﾝ


土「ノックしても返事がない…」


でも中に気配がある


居留守か？


そう思った時，ほんのりと血の匂いがした


よく耳をすましてみれば何かを斬る音が聴こえる


まさか…襲われて！？


そんなことを考える暇もなく私は襖を破壊して中に入った


その中には


『…あ』


自分の腕を斬っているAがいた


それを見た瞬間に一気に顔が青くなる


土「おま！なんてことをしているんだ！」


Aの手から無理矢理クナイを奪い、そう問い詰める


『え…返して？お願い，ねえ』


しかしそれに応える事はなくただ返してとお願いするだけ


土「だめだ！お願いだからこんなことをするな！」


『は？何で？』


土「へ？」


予想の斜め上の回答により，不意に間抜けな声を出してしまった

『私はこんな普通の人間と同じ暮らしをしていてはダメなんだよ，私みたいな奴が』


土「そんな事！」


『あるんだよ。だから私は貴方にビンタされたんだろう？目玉をとられたんだろう？
私はヴィラン(道具)なのだから』


土「ッ…」


『だから返してよ！ねえ！こうでもしないと頭がおかしくなる！罪悪感で押しつぶされてしまいそうなんだよ！お願いだから！』


するとAは泣きながらそう訴えた


土「A！すまん，本当にすまなかった！だから！」


『嫌だよ，そんな謝罪。
聞き飽きた
もういい
だからさっさと私のクナイを返してよ』


土「A…」


私は無意識に抱きしめてしまった


『返してもらえないの？
じゃあ次は他の武器で自分に罰を与えるからいいよ
次はどうする？指を切り落とす？足を切る？それとも耳を切り落とすのかい？…あ，私の目玉って高く売れるんだよね！だからもう一つの目玉を…』


土「もうやめてくれ！」



『止める？やだよ，私が満足するまでやめない
これからも，永遠に
この命が尽きるまで』


土「ッ…ごめんなさい，本当にごめんなさい」


すっかりと変わり果ててしまったAに，私はただ抱きしめて涙を流すことしかできなかった









(狂いすぎて戻れなくなった歯車)

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