Don't be angry. ページ8
「あと一球だけ投げるから、向こうで待ってて。話はそれから」
人差し指でネットの外をさす。フジナミ君は引くに引けないような顔をしてる。
分かってるのよ？
貴方の焦りも悩みも。
けど、いっかい落ち着いてもらわなきゃ。
「お願い。本当にラスト一球だから」
しぶしぶ、でもこっちを見ながらネットの外へと戻る。それを見届けて、キャッチャーへ向き直った。
頭の中でイメージする。
左足は三塁側に向けて、歩幅は広く。
上半身は大きくひねる。
(投げにくいフォームね)
視界はグラグラだし、脇腹いたくなりそう。ボールだってどこに投げればいいのか見えないじゃない。
＿＿バシィッン！！！
「なんでや……」
耳の端っこで、フジナミ君の呟きをとらえる。
ビックリよね。今までボール球しか投げてない私が、ボール球ばっかりの誰かさんのフォームで一番いい球投げたんだから。
ピッチャーの方にお辞儀をして、ネットの外へ出る。壁にもたれて座っているフジナミ君の前に立って見下ろすと、さっきの怒ったような顔とは大違いの、困ったような、ワケが分からないような顔をして私を見る。
「隣、座っていい？」
「知らん」
「そう、ありがとう」
「は」
座っていいって事にしとこ。
隣に座りながら、近くにあったペットボトルに手を伸ばす。
(私結構な大仕事頼まれたんだから、水分補給くらい許されるよね？)
ボトルの飲み口に口をつけて、少しぬるくなった水を流し込むと、監督からの頼みごとが頭の中をループする。
〜〜〜〜
「なぁ。今からブルペンか？」
「はい！」
バッティングを終えてすぐだった。
移動しようとしたところを呼び止められて振り返ると、監督が手招きして私を呼んでいる。近くへよると、頼みごとがあると一言。
「晋太郎の事、頼めへんか」
「……というと？」
「あいつ、色々あってな」
そして監督はこれまでのフジナミ君の話をしてくれた。
動画も見せてくれて、今のフジナミ君の話も聞いた。
「つまり、フジナミ君の復活を手伝えと？」
「そういうこっちゃ、頼んだで」
「拒否権は？」
「５年もさぼったんじゃ、こんくらいやってもらわな」
「Yes,sir」
〜〜〜〜
彼、目が笑ってなかったから取りあえずやることにしたのよ。
「なぁ」
「ん？ なに」
「それ、俺の」
「あぁ。ごめん」
「それだけかい」
「ティーンじゃないんだから気にする事ないじゃない」
「……で、話ってなんなん？」
「Oh,そうだった」
よく聞いてね？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 71人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「プロ野球」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
優希(プロフ) - softさん» 私、虎の勝ち負けで体調変わるから。負け続けた時、熱だしたからね。今は勝ってるから、出てないけど。応援するしかないよ。 (2018年5月26日 13時) (
レス) id: 250acda05a (このIDを非表示/違反報告)
soft(プロフ) - 優希さん» 最近負け続きだったからちょっと悲しかったけど(´・ω・`) 応援するしかないよね！ (2018年5月26日 13時) (レス) id: 94ac0ee185 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - softさん» そうだね、これからもずっと応援しよう。勝っても、負けても、虎命だから。 (2018年5月13日 9時) (レス) id: 250acda05a (このIDを非表示/違反報告)
soft(プロフ) - 優希さん» うん！ 阪神タイガースもずっと応援しようね！ (2018年5月13日 0時) (レス) id: 94ac0ee185 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - softさん» お久し振りです、お互い体に気をつけて頑張ろうね。 (2018年5月12日 23時) (レス) id: 250acda05a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：soft | 作成日時：2017年7月27日 0時
