番外編 負けず嫌いな能見さん ページ35
これはAちゃんがキクチサンに弟子入り志願した直後のお話し……。
_________
鳥谷side
俺はしばらく広島ベンチには近寄らねぇ。
あんなに恥ずかしい思いしたの、いつぶりだよ。
(出張新喜劇だぁ? 俺は完全に巻き込まれだっつーの)
菊池に事情を説明すると、あいつはお得意のいたずらっ子のような笑みを浮かべながら「乗っちゃいますよその設定! 任せて下さい」って親指をたてた。
任せたら嫌な予感しかしないけどな……。
心の中でそう突っ込みながら、俺は曖昧に笑うしかなかった。
そんなやり取りがあって、ベンチに戻ってから思わずため息をつくと、隣に能見さんが座った。
「珍しいなぁ、トリがため息とか」
「はぁ……。なんかもう、先が想像できて。菊池とAの師弟関係とか絶対やばいじゃないですか」
俺がそういうと、確かに!なんて言いながら声を出して笑う。
そう言えば、この人もAに振り回された人の一人だった。
「でも能見さんはもう、扱い方完全にマスターしてますよね」
「まぁな〜。やられっぱなしは性に合わへんから」
「流石です」
軽い笑いを含ませながら言うと、能見さんも笑いながら首を振る。
「負けず嫌いなだけやで」
(能見さんの場合はそれだけじゃないと思いますけどね……)
そんな話をしていると、ちょうどAが現れた。
どうやら裏で蒼汰くんにこってり絞られたみたいだ。さっきまでの興奮は収まって、飛び出していく様子はない。その代わりに、広島ベンチを食い入るように見つめてる。
それがなんだか微笑ましくて。
振り回されまくりだけど、不思議とイヤじゃなかったりする。
まぁ、疲れるのは事実だけどな。
しばらくすると能見さんが立ち上がってAの方へ向かう。不思議に思って顔をみると、まぁそれが何とも言えない悪い顔をしていて。
(……A。俺はお前に少しだけ同情する)
心の中で合掌しながら見届けることにした。
「A、どしたん?」
「怒られちゃいました。お前は距離感をどうにかしろって」
「それは、近づき過ぎってことやんな?」
「その通りです」
「ふーん」
そう言って能見さんは一歩、二歩とAに歩み寄る。そして見下ろしながら、
「確かになぁ……気ぃつけんとあかんよ」
なんて言って頭をポンポン。
この人、相手がどうしたら困るとか全部分かってるし、困ってるの見て楽しんでるし……。
(ドが付くSなんだよな…負けず嫌いとかじゃなくて)
71人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「プロ野球」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
優希(プロフ) - softさん» 私、虎の勝ち負けで体調変わるから。負け続けた時、熱だしたからね。今は勝ってるから、出てないけど。応援するしかないよ。 (2018年5月26日 13時) (レス) id: 250acda05a (このIDを非表示/違反報告)
soft(プロフ) - 優希さん» 最近負け続きだったからちょっと悲しかったけど(´・ω・`) 応援するしかないよね! (2018年5月26日 13時) (レス) id: 94ac0ee185 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - softさん» そうだね、これからもずっと応援しよう。勝っても、負けても、虎命だから。 (2018年5月13日 9時) (レス) id: 250acda05a (このIDを非表示/違反報告)
soft(プロフ) - 優希さん» うん! 阪神タイガースもずっと応援しようね! (2018年5月13日 0時) (レス) id: 94ac0ee185 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - softさん» お久し振りです、お互い体に気をつけて頑張ろうね。 (2018年5月12日 23時) (レス) id: 250acda05a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:soft | 作成日時:2017年7月27日 0時