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その手を俺に ページ32

北條side

昨日、Aが帰りのバスにおらんかった。監督に聞くと「あとからホテルまでくるから気にせんでええ」って。


けど、ホテルに戻ってしばらく経ってもAは来ぉへんかった。


風呂上がりに送ったLINEも既読がつかんかったし、翌朝のミーティングにも。


やっと姿を見せたのは、出発前。それもバスに乗り込む直前やった。


いつものように、俺の隣に座る。


「置いて行かれるとこだったわ! セーフね」


肩をすくめておどけた顔をするA。
左の手の平には、昨日なかったはずのバンドエイドが貼られとる。


「なぁ」
「んー?」
「その手、どないしたん?」

そう聞くと、少し笑って首を横に振る。

「大したことじゃないの。ちょっと棚の角にひっかけちゃって」
「ホンマかぁ?」
「ほんとよ! まったく、我ながらダサすぎよね!」


明るく言って、そしてその左手を胸元のネックレスへ。


「……やな! だっさいわ〜! 今日試合出れへんやん」
「何言ってるの! 出るに決まってるじゃない」
「いや無理やろ」
「ウソでしょ〜! ショック〜」
「とか言って〜、分かっとったくせに〜」
「あっ、ばれた〜?」


おん。
バレバレや。
ホンマはひっかけたんやないんやろ。


そうやってAがネックレスを握っとるのは、大体なんかあったときや。


「なぁ」
「なによ〜」
「……やっぱ何でもない」
「えぇ! 何それ!」
「ちょい寝るから。着いたら起こしてな」
「珍しい!……分かったわ。おやすみなさい」




Aが、さらっと俺の頭を撫でる。
俺はパーカーを被って目を瞑った。




あのネックレスはAにとって、なんなん?





……誰なん?







楽しいとき、嬉しいとき、悲しいとき、困ったとき、








Aが一番に触れるそれは。


その首にかかった指輪は。









一体、誰なん?









親? 兄弟? 友達? 仲間?



それとも。





そこまで考えて、やめた。



もしかしたら自分で買った、お気に入りかもしれんし、ただの癖かもしれん。







……けど、やっぱ。






その手が俺に触れる様になったらどんなにええか。




俺はまだ、Aの事を知らなすぎる。

ひとつ見つけた。→←どうしたらいいの?



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優希(プロフ) - softさん» 私、虎の勝ち負けで体調変わるから。負け続けた時、熱だしたからね。今は勝ってるから、出てないけど。応援するしかないよ。 (2018年5月26日 13時) (レス) id: 250acda05a (このIDを非表示/違反報告)
soft(プロフ) - 優希さん» 最近負け続きだったからちょっと悲しかったけど(´・ω・`) 応援するしかないよね! (2018年5月26日 13時) (レス) id: 94ac0ee185 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - softさん» そうだね、これからもずっと応援しよう。勝っても、負けても、虎命だから。 (2018年5月13日 9時) (レス) id: 250acda05a (このIDを非表示/違反報告)
soft(プロフ) - 優希さん» うん! 阪神タイガースもずっと応援しようね! (2018年5月13日 0時) (レス) id: 94ac0ee185 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - softさん» お久し振りです、お互い体に気をつけて頑張ろうね。 (2018年5月12日 23時) (レス) id: 250acda05a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:soft | 作成日時:2017年7月27日 0時

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