青の白雪姫10【オビ】 (ページ9)

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助けにページ9

グラッと篝火を倒したカゲヤ。一瞬にして火は辺り一面に燃え広がる

苦しそうにしている男達を横目にリュウの元へ

カ「立てる？もう平気よ
彼らはしばらく起きられないわ。あなたはさっき別の薬を飲んだから大丈夫

…鎮痛薬だと誤魔化してくれたでしょう？」

リ「………何か…………
考えがあるんだと思ったから……」

カ「ええ。
私は終わらせなければならない事があるの

その為に…あと一つだけ協力してくれる？」

カゲヤはリュウの前へ箱を差し出した

カ「お願い、
この薬を届けてほしい人がいるの」

薬を受け取ったリュウは「…ヨヅミさん？」と問いかけた。それに少し固まってしまうカゲヤ

リ「ルギリア伯爵の家で会ったんだ。一緒に治す方法を探してる」

カ「……」

リ「あなたは、カゲヤ・イリーズさん？」

うるっと涙目になるカゲヤはリュウに「…あなたは？」と問いかける

リュウは自分の名前を答えた

カ「────リュウ君、ここを離れて…。
私は後始末があるの。火が回る前に…」

リ「だめだよ。カゲヤさんも、もう動けないはずだ。一緒に…」

ゴォォと燃え広がる火にリュウは少し呼吸が苦しくなるが、急いで立ち上がり近くにあった葉を取った。そして器と棒を取り、葉をすり潰し

カゲヤの前へと差し出す

リ「飲んで。少しは効いてくれる」

カゲヤはそのまま器を受け取り、口に含むと「薬に詳しいと話していたけれど…」と言い、戸惑いながらリュウを見つめた

リ「おれは、宮廷薬剤師なんだ
──────だけど、

剣の…練習か、馬に乗る練習もしていたら、良かったんだ。そうしたら……」

カ「剣と馬？
………本当は騎士になりたかったの？」

リ「そうじゃない……そうじゃないけど、」

カ「─────…そうね
誰かが持っているものを全部自分が持っていたら何にも…負けないけれど

私はひとりもそんな人は知らないわ。自分が出来る事をして、それが誰かの助けになれば

すごいことなのよ」

──────あなたの出会った中に

───────そういう人は居ない？

優しく微笑むカゲヤに
リュウはポツポツと涙を流し始め

リ「たくさん居る」

そう答えた