青の白雪姫10【オビ】 (ページ16)

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カ「────私は…。
身分ある婦人にお仕えし、貴族や商人の方から秘密を聞き出すことで報酬を頂いていました」

ゼ「諜者をしていた？」

カ「そのような大したものではありませんけれど、数年お仕えして引き際を考えた頃ベルガット家の目にとまるようにと指示を受け───…それを最後の仕事にしようと考えておりました。
最後というのは、それほどの報酬が約束されていたからです。

ですから難しい相手なのだろうと考えていたのですが驚くほどに容易く、ご当主のトウカ様にお会い出来て…」

トウカ…と聞くだけでブルっと震えてしまう自分が今でも弱いと感じる
あの日の光景から解放されたいな…。ギュッと手を握り、カゲヤさんの話に集中した

カ「雇われていると悟られぬように振る舞い、トウカ様のご指示で同じ仕事をしたのです。トウカ様から私に近付いたのだとも知らずに

…気が付いた時には私には扱えぬ秘密を知りすぎていました。トウカ様がなさっている事も。関係を経てば身を守れなくなると恐れを抱き始めた頃に────…「香水」の話を聞かされたのです」

ツ「香水を調合していた伯爵の親族も捕らえました。作用は宮廷薬剤師方の調べの通りです。

禁じられた香蝋とその調合法をもとに生成。
試験の中で、中和薬も作られたと兄トウカからは聞いているそうです」

ツ「伯爵方は香水の調合のみを知り、誰かに香水を売る役目を。
カゲヤどのは「リエラ夫人」を名乗り
中和薬の調合のみを知り、夜会にて伯爵の客らに売る役目を任されていた。

お互いの正体は知らず、客同士にもおそらく横のつながりは無いようです」

エ「じゃあ…伯爵がカゲヤどのの家を知ったのは、トウカどのが退いた後のことか？」

ツ「はい。先のベルガット家への調査で暴かれなかったこの香水の流れを掌握しようと考えた時、中和薬無しでは客を維持するのは不可能だった。

だからどうしてもリエラ夫人の正体を知る必要があったのです。
トウカ失脚後、夫人は取り引きに現れなくなりましたが、伯爵は下手に手出しは出来なかったそうです。」

ツ「トウカの知る自分の行状を夫人がどこまで知っているのか、脅威であるのか、わからない以上慎重に動かざるを得なかったと…。

しかし、トウカの関わりなど知る由もない客の一人が勝手に動いたのです」

─────香水を使えないことに焦燥し

─────リエラが誰なのかを突き止めました