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｢自分の立場……ですか｣
｢そう。さっき自分で言ってたでしょ。俺が放送で逃げ道を塞いだって｣
｢はい｣
｢まさにそのとおり。俺は君の逃げ道を塞いだんだよ。全部、ね｣

そう言われてもう一度考え直す。

私を呼び出したのはこの目の前にいる副会長さん。それもわざわざ放送で。
他に呼び出す方法は無かった？教室に呼びに来ることをしなかったのは何故？

クラスがわからなかった？
……いや、放送で1年6組だって言ってたからそれは無い。

教室へ向かうまでの混乱を避けた？
でもそんなに身動きが取れないなら学校へ来ること自体がリスクだ。

直接呼びに来た方が私の逃げ道は少ないしずっとメリットが大きいはず。
それなのにわざわざ放送で私を呼び出した。
しかも全校放送で。

……全校放送……。

｢……まさか……放送が仕上げ…？｣
｢あはは！理解が早くて助かるよ！｣

呼びに来ればクラスの人、広くても隣のクラスまでしか様子が広がらない。噂を待てばある程度は広がるけど、そんなものを信用するより同時に全校に知らせた方が確実に早い。

確認の仕上げは昨日の会計くんへの態度。
私の逃げ道を塞ぐ仕上げは先の全校放送。

……ああ最悪だ。
全校生徒が今日呼び出されたことが知ったんだ。ああもう、ありえない。

｢昨日会計くんに君のところに行かせたでしょ。その噂も既にある程度は広がってたけど、信憑性がそこまでないから広がりにくかった｣
｢噂程度じゃ困るから今回は事実に？｣
｢確実にね｣

ふふ、とそれはもう楽しそうに笑う彼にため息が漏れた。なんだこの脱力感。

｢……この時間はなんだったんですか……｣
｢俺的には楽しかったけどね、なかなかこんな討論できる人いないし｣

笑ってる副会長さんはとりあえず無視だ。
受けても断ってもすでに全校生徒から嫌悪の眼差しを受ける事は決まっている。

最悪だ。ほんと、最悪。

｢後にも先にも地獄……｣

そう頭を抱える私に、また副会長さんは楽しそうに言う。

｢先には光があるよ。地獄かもしれないけど多分まだまし｣

彼の方の向こうで、夕日が沈んでいくのが見えた。