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｢人気者の生徒会執行部を一目見ようとどのクラスも必ず男女二人で参加するのに、何故か男子しか来ないクラスがある。女子の方にやる気がないのかとも思ったけど提出物の様子を見てるとそうでもない｣

提出物……クラス内アンケートのことかな。考察とか意見とか色々書くように指示されてた。
会議に出てもらってるお礼ってことで、男の子じゃなくて私が書くようになってる。

｢書かれてる文字は明らかに女子のものだし、視点も面白かった。生徒会に媚びてない感じがいい｣
｢……はあ｣

そもそもあの提出物でどうやったら媚びていると判断されるのかそれが聞きたい。意味がわからない。

うーん、と顎の当たりをくにくに揉んでいると、副会長さんが、ふ、と柔らかく笑った。

これは多分、素の顔。

｢君が俺らに興味無いことくらい知ってたよ。同時に仕事が出来る人ってことも｣

……これで何となくピースがはまった。

会計くんが声をかけてきたのは初めから私が目的。誰でも彼でも勧誘しようとしてたんじゃなくて私一人を狙ってきてた。

生徒会が求めている条件、すなわち『役員に興味が無いこと』と『仕事が出来ること』を兼ね備えていると思われる私は、声をかけられて当然だったというわけだ。

｢……なるほど、昨日の時点でほぼ決まってたわけですね。会計くんが声をかけてきたのは布石？万が一のための｣
｢会計くん！｣

副会長さんも気に入ってくれたらしい。
名前を覚えてないだけです。ごめんなさい。
確か今日の悪口の中に含まれてた気がするけど……まあいいや。思い出せない。

｢まあそうだね。代議員会には俺しか出てないから、君の言うその……会計くん？とか智くん目当てな可能性もあるし｣
｢智くん｣
｢あ、生徒会長さんね。大野智……まさか覚えてない？｣
｢……すみません｣
｢うわ、ますますうちに欲しい！もしかして俺の名前もわかんない？｣
｢……副会長さん｣
｢あっはっは！副会長さん！｣

眉を下げて大爆笑してる。さっきまでキリッとしてたのが嘘みたいだ。
それと同時に段々と少しずつ、だけど、品定めするような疑り深い目線じゃなくなってきた。空気が柔らかくなる。