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ぬるくなってしまったミルクティーの缶を開けて口に含む。甘い。
缶の表面の結露が、汗と一緒にぽたぽたとジャージに零れた。

｢……あっついなぁ…｣

ほお、とため息をつくとホイッスルの音。どうやら相葉くんのチームが勝ったらしい。ダンクしてたのもあって胴上げされてる。

……相葉くんを見る度に思う。

私とは根本的に性格が違う。違いすぎる。
私はあんな底抜けに良い人にはなれない。

キラキラと輝いていて、ふわふわと周りを癒して、どこか人見知りしているようなのに周りには悟られない程度には取り繕えてる。
……本人の意図的なものかどうかはさておき。

『明るく元気な相葉雅紀』

そのイメージは、人から好かれるというメリットと同時に、無理をするというデメリットも生む。

人見知りにメリットはほぼ無いと言っていい。対人スキルが高いに越したことはない。

私は人見知りを治すつもりは無いし、現状に甘んじている状態だけど相葉くんは……なんだろう、人見知りを治すんじゃなくて新しい自分を作っているかのような。

櫻井先輩が計算し尽くした気の使い方をするのなら、恐らく相葉くんは本能的なもの。

｢……あ、Aちゃーん！勝ったよー！｣

……だからきっと、悪気はない。他意もない。

満面の笑み。激しく振られる両腕。私の名前を呼ぶ、少しハスキーな声。

単純に勝ったことが嬉しくて、私に伝えたいだけ。なんなら気を使ってくれているんじゃないかって思うほど。

だけど悪気がない無意識の嫌がらせって、多分何よりも。

｢……なんであの子が｣

……タチが、悪い。

｢……？｣

周りから突き刺さる視線の中、微かな殺意を感じて振り返る。

不自然な程誰もいないその空間が、異様な空気を醸し出していた。