length and width【ars】 (ページ18)

今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:95,101 hit

18 ページ18

ギラギラと照りつける太陽！
雲一つ無い澄みきった青空！

クラスマッチ日和だね！とJK達がスマホで自撮りしまくってる中。カシャーッ、カシャーッなんて音が飛び交ってる中。

｢……あづい……｣

体育館の側に置かれた長机で、スライムになりそうな女が1人。

……私だ。

誰だ憂鬱なクラスマッチが楽しみになったとか言ったの！

……私です。はい。

・

そもそも運動は好きじゃない。得意でもない。

つまり、このクラス対抗競技大会、通称クラスマッチも例外無く好きじゃない。

なんでこの夏休み直前に炎天下の中運動をしなければいけないのか。理解に苦しむ。

でもまあ生徒の皆さんは楽しそうだ。なによりだ。うん。暑いけど。

うちの学校の体育館は、御親切に渡り廊下が広めにとってあって、私が座ってるのは一応日陰なんだけど。

日陰なんだけど。

｢……あづい……死ぬ……｣

夏日も真夏日も越えてる気温が、容赦無く私を苦しめる。暑いの好きじゃないのに。勘弁して欲しい。

はあ、とため息をついて机に突っ伏すと。

｢……ひぃ!?｣

……首筋にいきなり冷たいものが当たった。
変な声出た。
何かと思い振り返れば副会長閣下。
と、その手には冷たいミルクティーの缶。

なるほど、犯人はこの人か。

｢ちょ……はぁ！？何してるんですかアンタ！｣
｢あははは！仮にも上司にアンタ呼ばわり！｣

大したダメージも受けてないくせに、と唇を尖らせると、拳で口元を覆う櫻井先輩。
それでもやっぱり笑いは漏れてる。

｢冷たー……｣
｢くくく、やるよコレ｣
｢……そりゃどうも…｣

手渡されたミルクティーの缶をおもむろに頬につける。うん、冷たくて気持ちいい。もうちょっとだけこのままにしとこう。

｢先輩サッカーでしたっけ。負けました？｣
｢残念！私の活躍により勝たせていただきましたよ、えぇ｣

あーあー相手が可哀想、と呟いて、確認していたタイムテーブルから視線を上げると、やけに見覚えのある人がぶんぶんと手を振っている。

｢……お、相葉くんが手振ってる｣
｢雅紀これから？｣

……ぐい、っと。

ほんとに、不意に。

私の持ってるタイムテーブルを、横から覗き込まれたら。

｢……みたいです、ね｣

ちょっとくらい、ドキドキしても

仕方ないと、思うんですよね。うん。