3 ページ3
とある部屋の前で姫抱きしながら言い合う男女が1組。
｢ほらドア開けて｣
｢え、自分で開けてよ｣
｢両手ふさがってんだろ、ほら早くしろって｣
無茶言う。
別に姫抱きなんて頼んでないし靴脱いだって歩けるしなんなのもう。
声紋認証でも開けれるらしくて鍵は開いてる。あとはドアだけ。
｢A｣
｢っ……｣
姫抱きのせいで距離はほぼ0になってて
昔の恋人に耳元で名前なんか呼ばれたら言うこと聞くしかないに決まってんでしょうよ。ばーか。
｢あーはいはい開けますよ……｣
ドアノブを下げると重厚感のある音がした。潤は満足気に微笑むと、背中でドアを押して中に入っていく。
｢…お邪魔しまーす……｣
自分から入ってるわけでもないのにそんなこと言うの入ってる変な感じ。でも一応、人様の家だし。
潤はどんどん部屋の中に進み、真っ白なソファに私を下ろした。
｢はい、ちょっと待っててね｣
有無を言わせない雰囲気にとりあえず私は頷いておく。
昔付き合ってた時、時折俺様的な雰囲気が漏れてたけど今は完全に俺様になってる。
昔とは違うんだな、なんて、こんなところで再認識してる私もどうかと思うけど。
初恋も初カレも初手繋ぎも初恋人繋ぎも初ハグも初キスも。昔こいつにちゃっかり捧げちゃってもうハジメテなんぞ残ってないと思ってた。
お姫様抱っこが残ってた。
……まあまたこいつに奪われたけど。
｢はいお待たせ、消毒すんぞ｣
｢え、いいよ自分で、｣
｢うるせ｣
びゅっ
ボトルから私の脛に向かって一直線に飛び出す消毒液。怪我を直撃。
｢〜〜〜〜っ!?!?｣
普通ならこんな悶絶するほどのことでもない。
でも不意打ちだったし油断してて、そのうえ消毒液の勢いが凄かった。傷を抉られるんじゃないかと思うくらい。
……抉られる、は、ちょっと言いすぎたけど。
｢あ、わり、痛かった？｣
｢いっ……！お前っ……わかっ……くぅぅ……！！！！｣
痛かったって！お前こうなるってわかっててやったろ！
って言いたかったんだけどそれどころじゃない。超染みる。
｢くくっ……！何言ってんのかわかんねえよ……！｣
｢笑ってんじゃねえよ……痛いよ……｣
｢わりーわりー。……くっ｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 242人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
聖夜姫 - はじめまして 聖夜姫(いぶき)です！作品を読んで楽しめましたMJファンにはたまらないです よかったら友達になってください！ (2016年8月12日 20時) (
レス) id: 34d7a0d57b (このIDを非表示/違反報告)
沙理那(プロフ) - まりさん» ありがとうございます！ (2016年7月21日 19時) (レス) id: c7c004a3ee (このIDを非表示/違反報告)
沙理那(プロフ) - 向日葵の微笑み潤さん» ありがとうございます！ (2016年7月21日 19時) (レス) id: c7c004a3ee (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - わぁとってもキュンキュンします！潤くんファンとしてはたまらないです。楽しみにしています！ (2016年7月21日 16時) (レス) id: 23cd098b4a (このIDを非表示/違反報告)
向日葵の微笑み潤 - 花金、お話進みましたね〜！ますます、続きが気になります！更新頑張って下さい！！ (2016年7月20日 17時) (レス) id: 82b8fa921d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：沙理那
| 作成日時：2016年7月15日 10時
