『久しぶり、そして大喧嘩』 ページ4
「ここだぜ。」
「わ、すごいお屋敷…。」
サーヤたちが連れられて来たのは、広すぎる洋館。
「ずいぶんと広いんですね。」
ピンポーン
翼がインターホンを鳴らす。
『はい。……灰神家の方と…後ろの方は？』
「マテリアルの後輩。」
『なるほど。お通ししますね。庭園を抜けた先でお待ちしております。』
巨大な門が開き、整備された道を歩く。道の両側には草花が生い茂っている。
「さっきの人誰だー？」
「絵麻……お前たちの先輩の使用人。」
「お待ちしておりました。お久しぶりです、翔様、翼様。」
「久しぶり。」
「改めまして、麗と申します。」
「あ、えと、日守紗綾です。こっちは弟の、日守黎夜くんです。」
「風見志穂です。」
「稲城徹平っス。」
「絵麻様にご用なのですよね？それならば、右の棟にご在住ですよ。ご案内します。」
「右？左じゃ？」
「“あの件”で奥様が。」
コンッ
「麗？なに？」
「灰神のおふたりと、その後輩方が来ましたよ。」
「…入って。」
ベッドに座り、暇そうに足をぶらつかせている少女、絵麻。
「後輩？その子たち？」
「あ、えっと、」
「大丈夫。名前も知ってるわ。会えて嬉しい！私は絵麻。よろしくね。」
コンコンッ
「絵麻、来て。」
「朱音さんか？」
「？？」
「私のお母さま。」
ガチャ
「絵麻。新しいお見合い相手が…「いやよ！何度も言ってるわ。もうお見合いはいやと。わたくしは、名も知らぬ人のもとへ嫁ぐなど断固拒否よ！」
「わたしは、あなたのためを思って…。」
「いつもそう！そう言ってウソばっかり！だからいや！わざわざわたくしを左の棟から追い出して、勝手なことばっか！もう帰って！！」
ギィッ
バタンッ
「ごめんなさい、うるさかったよね。」
「あの、気になったんですけど、一人称…。」
「あ、癖なの。気になった？」
「いいえ。」
「仲、悪いんですか…？」
「…そんなとこ。嫌いじゃない。けど、」
キーンッ
「っ！」
「「絵麻！」」
「「「絵麻さん⁉」」」
「はあっ……。今日はもう疲れちゃった。ごめんね。」
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作者名：レイリア | 作成日時：2022年9月19日 14時
