『古き記憶』 ページ13
ここは東区。神舞町のはずれにある、人々から忘れ去られた土地。
「いつの間にかここまで来てたの？」
「あぁ。まるで変わってないよな、あの日と。」
「そうね…今でも鮮明に憶えているわ。麗と出逢ったあの日のことを…。」
回想入ります！
むかし。絵麻たち三人は、パトロールついでに篠森村というところに来た。正確には迷い込んだが、それでも、この神秘的な森に広がる草木の数々を見て心を躍らせた。
その時、
「はあっ、はあっ。！逃げてください！」
突如現れた、ぼさぼさの髪の少女が倒れ込んできたのだ。
「えっ、」
「待てよ名無し！」
さらに少女の走ってきた方からガタイの良さそうな大男まで出て来た。
「とととっ、とにかく！」
幼いが聡明な絵麻に手を引かれ、少女と絵麻たち三人は来た道を慌てて駆け戻った。
ーーー
「あなた、名前は？」
「無い、です。」
「ないの？」
「親は愛想がないのか、名付けてはくれず、五歳で売られました。」
「売られっ？」
「ウソだろ…。」
「構わなくていいですよ。わたしには親なんていませんし。」
「あの！私が名前を付けるわ！それで！私のメイドさんになって！お願い！」
絵麻は焦っていた。母、朱音に来週までに専属の従者を付けられなければベテランのオバサンを付けると言われていたからだ。
「良いのですか？」
「良いわ！そう、名前はね…麗！あなた絶対綺麗よ！今はぼろぼろだけれど、磨けば輝くの！」
「麗…わたしの名…。」
ーーー
「あの後、大男にお金を出せって言われたら麗がソイツボコボコにしたよね。」
「あー。あれはえげつなかった。怖いよな。」
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作者名：レイリア | 作成日時：2022年9月19日 14時
