『進撃』甘く溶かされてみるか？【短編集part2】

＊ ページ40

鋭い瞳で見つめられゴクリと唾液を飲み込む。


言うまでは逃がさないと…語っている。


「っ…分かりました…そのっ…」


服を握り締めながら兵長に伝えた。


「手を…繋ぎたいです…」


心臓が爆発するんじゃないかってくらい煩い。


耳にﾄﾞｸﾄﾞｸと音が響き渡りそれにつられるように顔が真っ赤に染まって熱くなるのを感じた。


兵長の顔が見れないっ…


どうしよう…引かれたかな…


不安になっているとｸｯと小さく笑う声が聞こえた。


え…？


ビックリして顔を上げれば兵長は肩を震わせ笑っている。


何故…？なんか変なこと言ったかな？


「あの…兵長…？」

「ｸｯｸｯ…悪い。あまりにも可愛いことを言うから笑っちまった。」


へ……！？


その言葉に心臓がまた慌ただしく鳴り顔の熱が一気に上がる。


すると兵長が笑うのを辞めてスっと手を差し出して言う。


「…ほら、手出せ。」

「え…」

「繋ぐんだろ？手、出さねぇと握れねぇ。」


そう言われ慌てて手を出し兵長の手と自身の手を重ねると優しく握ってきた。


その温かい男らしい手にドキドキする。


「っ…」

「…細ぇ手だな。」


そう言って親指で手の甲を撫でる。


「！…そう…ですか…？」

「ああ。強く握ったら折れちまいそうなくらい細ぇ。だが…この感触は悪くない。」


目を細め優しい表情を浮かべる兵長。


今まで見た事ない…顔だ…


胸がキュンとして苦しい。


＿＿ どうしよう…。兵長が好き…



手を繋いだらもっと確信してしまった気持ち。


離したくない、もっと…もっと…触れたい。


このまま時間が止まってしまえばいいのに。


すると兵長が指を絡ませてきて恋人繋ぎになると驚くのも束の間、繋いでいる手を自身の頬に持っていき当てながら言う。


「…お前の手は不思議と落ち着くな」

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す