『進撃』甘く溶かされてみるか？【短編集part2】

＊ ページ25

「っ…！」

「…ん」


軽く重ねた後、唇を離す。


兵長を見れば複雑な、だけど鋭い目を此方に向けている。


「…何の真似だ。」

「…触れて…欲しくて」


今まで抑えてきた気持ちを吐き出すように自然と出てきた言葉。


「…やめろ。酔っ払って何も考えられなくなってるだけだ。頭を冷やした方がいい。」

「っ…！違いますっ！本当に…っ」


思ってる事なのに…。


好きと言えないのならせめて…一夜限りでもいいから…


夢を見させて？


「 … 抱いて…下さい…」


ツゥーと瞳から涙が頬を伝う。


兵長はそっと指先で涙を拭い、キツい口調では無く優しい声色で聞いてきた。


「…本気で言ってるのか？」

「…はい。冗談で…こんな事…言いません」

「…そうか。」


そう言うと兵長はベッドに戻り今度は私が押し倒された。


「っ…！」

「…後悔しねぇんだな？」


真剣な表情と瞳にドキッとしながら私は小さく頷く。


「…しませんから…お願い…」


再び流れ落ちた涙を今度は唇で受け止めた。


それも優しく、労るように。


「…わかった。お前の望み通り抱いてやる。」


そして自然と重なる唇。


たったそれだけでポトリポトリと想いが溢れ出す。


好き…好き…。


兵長の手が触れる度、体が燃えるように熱くそれと同時に甘い痺れに身体中を包み込む。


本当に…夢みたい…。



目を閉じて兵長の温もりを感じながら一夜を過ごした ＿＿＿ 。

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