【QK】シロンスはうるさく -2- (ページ7)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:11,243 hit

世界がかわった後のおはなし -sgi ページ7

side:sgi

18:13 飲み会楽しんできてな！
20:31 おつ！
20:32 迎えいこっか
21:14 まだかしら
22:08 二次会行くんか？
22:40 おーい
23:22 寝るで

返事のこないメッセージと時計を交互に睨んでからゲームを起動させる。
…集中力が続かずにすぐに負けてしまうのは確実にAのせい。この編成何がいかんと思う？って話したり、じゃあ二人でいってみようって挑戦したり、そんな夜になるはずがもうこんな時間だ。

一週間前に決まった今日の予定。
久々にAが泊まりにくるって言ったもんだから気合入れてちゃんと片付けと風呂掃除をしたし、俺には何がうまいか分からん、コンビニのなんとかクリームシューとやらだって買った。

会えるの楽しみだねって送り合ってたさなか、バイト先の先輩の送別会に行くと言われたのが２日前。

じゃあ泊まりくるのは今度にするかって訊いたら、一次会だけの参加でそこまで遅くならないから会いたいってかわいいこと言ってたけど。言ってたはずでしたけど。

…そもそも送別会ってそんな直前に決まんの？
俺の超貴重な時間を割いて待ってるのに来ないどころか返事もない。

「なにやってんすかねえ」

こうして誰かを待ったり、心配したりする日が来るとは思っていなかった。だからこそ来ない返事が心底不安で、それを奴は絶対に分かってないから余計に焦る。

◆

本当に寝てやろうかと、なかなか頭に入ってこない攻略ページを閉じたところで、部屋に鳴り響くチャイム。時計を見ると日付がかわる直前。

絶対にAだって分かったからしばらく放置してやろうかとよぎったのに、体は勝手にインターホンも取らずドアまで走っていた。

一応眉間に皺を作ってドアを開ける。

「…うぃっす」
「おじゃましまーす！」

俺の怒り顔が目に入らんのか、酔って上機嫌のAが靴も鞄も投げ出して腕を広げ俺に駆け寄る。それがいつものハグしてよの合図なのは分かってるし、俺だって超抱きしめたいけど。

「酔っぱらってんの？」

できるだけ冷たい声で突き放してAの横をすり抜けキッチンへと向かった。

首を分かりやすく傾げながら座椅子に座って俺のブランケットにくるまるAは言わずもがな可愛くてムカつくし、何故か流れるように、お揃いのマグカップに水を入れてやったり冷房の温度を高めに設定し直したりしてる自分もムカつく。

→