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「もう、駿貴の番」
「そうねえ、ベタだけどタイムマシンかな」
未来警察が許すなら100年先のノーベル物理学賞の授賞式が見たいと笑った。
研究者らしい答えに感心してしまう。
「過去に戻ってオンネスに会いに行くのもありよ」
「ああ、超伝導を発見した人…なんだっけ」
「そう。Aの事も紹介したげるから一緒に行こ。そんでオランダの飯食って帰ろ」
当時のオランダ料理について知りたくなったのか、駿貴はスマホを突然調べ始める。分からないことがあったらその熱量のまますぐに調べた方がいいよって前に教えてくれたっけ。当然の事に思えてなかなか実行できない。
駿貴は長い料理名をレシピつきで説明してくれてるけど、その食材すらきいたことがなくて掠れた声のオランダ語が、子守唄のように聞こえた。
◆
「Aはどれ食ってみたい?」
声をかけられ、はっと目が覚めて、うとうとしていた事に気付く。
「ふあ、ごめん、なんて言った?」
「…あー、いや。ひみつ道具、やっぱりアンミンまくらにするって言った」
「何それ知らない、そんなのあるんだ」
「うん、おやすみって言ったら眠くなる枕」
えーググるわと一瞬画面を点けたスマホを取り上げられ、無理やりに腕枕に包まれる。
「おやすみ」
「えーオランダは?」
「夢で行けばいいや、早よ寝なさい」
頭を撫でられ本格的に眠気がやってきて、考えがまとまらなくなってきた。
こっちが質問したのに最後まで話きけなくてごめんね、って謝ったかな。
いいよ、またAが眠れない時に話すわって言ってくれたんだったかな。
分からないまま、優しい夢に落ちていく。
◆
「そんな道具ないじゃん、うそつき」
朝起きて一番に調べて怒る私をなだめるように、自分の二の腕をぽんぽんと叩きながら「まだA専用のプロトタイプだから」と言って、駿貴はがははと笑ってみせた。
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作者名:せの | 作成日時:2020年8月17日 2時