For the boys... (ページ9)

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BK「思ったよりサッパリした気分だ」

町を離れるオーナーと奥さんの車を見送り、
ガレットが評判の店でシェフとランチをして別れた後、
家具に白い布がかけられたレストランにベクと戻った。

『あっという間だったね』

BK「Aはいつ出発するの？」

『荷物もモーテルに移したし、
今週中には新しいとこに行こうかなと』

BK「そか」

『ベクはどうするの？
オーナーの紹介断ったって聞いたから』

BK「歌をさ」

『うん』

BK「ちゃんと歌ってみたくなったんだ…
オーディションとかバンドとか、どんな形でも。
貯金がヤバくなるまでｗ」

照れながらもしっかりした口調で話すところに
ベクの本気を感じる。

『…ベクの声は素敵だよ。
前に聞かせてくれた時、涙出るかと思ったもんｗ
バンドも良いよねぇ…あっ！』

BK「うぉ！急にデカイ声出すなよ」

『今夜予定ある？』

BK「え、何、何か怖いんだけど」

『お世話になったお礼にディナー奢るよ』

BK「裏ありそうだなｗ」

『損はさせないから』

港に停まる船を照らしていた夕日もほぼ沈んだ頃、
ベクの住むアパートまで車で迎えに行く。

いつもは着ていないジャケットを羽織ったベクは
助手席に乗り込むと "腹減りすぎて死にそう" と
文句を言いながらも、コーヒーの入ったカップ２つを
ドリンクホルダーに置いてくれた。

『ジャケットかっこいーじゃん』

BK「一応、デートですからねぇｗ
Aのワンピース姿も新鮮で良いですよ」

『フフ、ありがとｗ』

BK「どういたしましてｗ」

他愛もない話をしながら車を走らせていく。

旅に出てから今の港町に辿り着くまでに
数日滞在した歓楽街を目指して。

あの夜…強く降る雨のせいなのか、
何だか一人でホテルの部屋にいるのが嫌になって、
車で街の中を流していた時に見つけたライブバー。

そこで出会った "彼" がいるといいんだけど…