☆ ページ5
[side by baekhyun]
許されない…
そんなのは百も千も承知で。
だからこうやって会う前には毎回
"終わりにしなきゃ" と心に誓うのに…
〔ベク…お願い…〕
大好きな声でそう囁かれてしまえば、
その華奢な体を抱きしめずにはいられないんだ。
今夜もいつもの駐車場に車を走らせる。
町のはずれの高台にあるから滅多に人が来ない。
端の方に車を停めると、二人で後部座席に移動して
体を寄せ合う。
〔Aさんとはうまくやれてる？〕
BK「あー、勘がいいのかこっちが多く言わなくても
察してくれるから助かるよ」
〔そう、シェフも覚えが早いって褒めてたわ〕
BK「オーナーもワインの知識があるから助かるって」
〔あの人、ソムリエの資格あるくせに接客嫌いだから
店に出たくないのよ…ホント呆れ、んっ〕
自分から話題を出したくせに、彼女の口からは
聞きたくなくてキスでその唇を塞ぐ。
そう…俺の胸を甘く苦しめるこの人は
働いているレストランのオーナーの奥さん。
一目惚れに近かったと思う。
片思いで満足していた…そのうち諦められるだろうと。
でも、シーズンオフで町も閑散とした静かな夜に
涙目で "寂しい" と胸に飛び込んできた彼女を
拒む術は無かったんだ。
〔んっ…あ、今日は、ダメ〕
狭い町だからどこに行っても誰かの目がある。
逢瀬を楽しめるのはこういう場所だけで。
窮屈な車内で深くなったキスから先に進もうとしたら
強めに押し返される俺の体。
BK「わかった…でも次回まで
そんなに待てないからねｗ」
〔…ごめんなさい、ベク〕
BK「ちょ、冗談だよｗ そんな深刻な顔しないで」
〔違うの…あのね、しばらくこうやって
二人で会うことはできないわ〕
BK「え…」
〔今日はこれで帰りましょう…私が運転するわ〕
突然別れにも近い言葉を残して後部座席から
運転席に移動した彼女の後姿を茫然と見つめる。
BK「それって…終わりってこと？」
〔……〕
BK「ねぇ、答えてよ」
〔歌って…お願い…〕
彼女からお願いされるとどんなことでも拒めない…
納得いかない気持ちを抑えて静かに歌い出す。
〔ありがとう…〕
駐車場から出るために車が向きを変えた時、
ヘッドライトが一瞬照らした先に停まっていた
一台の車。
彼女は気付いてないが、俺は知ってる。
店の駐車場には停められないからと
知り合いの空き駐車場を教えてあげたんだ。
Aのステーションワゴン…
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作者名：コナツ | 作成日時：2013年11月20日 1時
