For the boys... (ページ4)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:5,846 hit

つま先立ちに進む足取りページ4

[side by you]

静かな波の音…
水平線に沈んでゆく夕日…
海辺にあるレストランのオープンテラスでグラスを…

BK「そこ片付いたら、3番テーブルもお願い」

『はーい』

まだ少し白ワインの残るグラスとその他の食器を
まとめてトレーに乗せてキッチンに向かう。

私が片付けたテーブルでは、ベクが慣れた手つきで
手早くテーブルクロスを綺麗にし、次の予約のために
セッティングをしている。

もう3週間か…

旅に出てから気の向くままに車を走らせていたら
辿り着いた港町。

観光よりは別荘やリゾートがメインだからか、
滞在者の年齢層は高めで落ち着いた雰囲気だ。

散策して気に入ったので少し滞在してみようと
宿を探すが、ハイシーズンのため空室が見つからない。

意気消沈しながらカフェに寄った時、
隣にあるレストランの入口に見つけた
"HELP WANTED" の看板。

書いてあった "短期・住込可" に惹かれ、
ダメモトで店内にいたウェイターに声をかけると

BK「過去に飲食店の経験は？」

『大学生の時、フレンチレストランで
フロアのアルバイトしてました』

BK「どのくらい？」

『んー…3年は確実です』

それを聞いたウェイターが人懐こい笑顔で頷き
"こっち" と手招きしたので着いていくと、
外に出て駐車場を挟んだところにある平屋に
案内された。

BK「これココの鍵、設備は好きに使っていいから。
で、早速で悪いけど今夜からフロア出てくれない？」

『…メニューください』

BK「いいねｗフロアマネージャーのベッキョン、
ベクって呼んで」

この港町では人気のイタリアンレストランらしく、
ディナーは予約でほぼ埋まっていた。

でも働いていた女の子が急に辞めてしまい、
困っていたところに私が声をかけてきたとのこと。

どうやら役に立ったようで、初日の終わりには
オーナー夫婦とシェフとベクにコース料理で
歓迎してもらえた。

ハイシーズンが終われば予約だけで営業するから
人手が必要な期間が短いところも都合が良かった。

『よっこいせ、と』

仕事後や休日に、町の色んな場所へ車を走らせてる時に
見つけた高台の駐車場。

海に面してるため夜景が見える訳でもなく、
寂しい外灯があるだけなので閑散としていて、
海風を感じながらコーヒーを飲むのに丁度良い。

今日もいつものようにiPodで音楽を聴きながら
ボンネットに座り、途中で買ったコーヒーに
口をつけようとした時だった。

見覚えのある車が、外灯の下を通って
駐車場に入ってきた。