最低なれピ.ンクパンク…！ (ページ4)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:4,803 hit

1-4 ページ4

[side by You]

Dir「俺の目に狂いはなかったな」

『結果出せて良かったです』

満足そうなディレクターがPCに表示させてる
ネットニュースを指差しながらこっちを向いた。

"音楽番組の新境地、平日の視聴率トップ"
"ファンからも「キャプチャが撮りやすい」と好評"

Dir「今じゃ出演させてくれって逆オファーが凄いぞ」

『ホイホイと引き受けるのは止めてくださいよ』

Dir「わかってるって」

ネットの放送局でインディーズバンドをメインとした
番組を細々と作っていたら、番組のファンだと言う
ディレクターから突然舞い込んだビッグオファー。

演出の腕を買ってくれて任された音楽番組だから、
何としても成功させたい…

既存の音楽番組や出演予定のアーティストの動画を
徹夜で見倒して決めた方向性は"丁寧なカメラワーク"。

セットも華美にお金をかけるのではなく、
誤魔化しをせず、安っぽく見えない程度に作り込む。

Dir「お前が推薦してきた新人とEXOが起爆剤だったな」

『…どうも』

デビューステージ前にあんな形で動揺させたことは
今でも悪いと思ってるけど、別れを告げたことに
悔いはない。

ステージで吹っ切れたように踊る彼は輝いてたと思う…
こっちも彼らが素敵に見えるよう頑張ったつもり。

その甲斐あってか、音源セールスも人気も上々だと。

どんなに隠したって油断をしたら暴かれるこの世界で、
ボロボロになってから後悔する痛みも、後悔される
苦しさを味わうのは私だけでいい。

Dir「で、だ」

『何ですか？』

Dir「俺の同僚が新しく短期のバラエティやるんだけど、
お前を貸してくれってしつこいんだわ」

『カケモチは無理ですよ』

Dir「興味はあるか？」

『そりゃぁ…』

Dir「サブやってるカンがお前から結構勉強してるし、
こっちを一回任せてみてもいいかと思ってんだ」

確かに…カンくんは今時珍しいくらい勉強熱心で、
細かく言わなくても動けるくらい成長してる。

『わかりました、そのバラエティやらせてください』

Dir「やっぱり潔いなw
じゃあ早速だけど第4会議室行ってくれるか。
15分後に新番組のミーティングやるって連絡きてた」

『はーい』

………
……
…

Pro「Aさんの案で進めてみよう」

『次の本ミーティングまでに内容詰めてきます』

Pro「よろしく頼むね」

新番組のプロデューサーの笑顔にホッとしながら、
会議室を後にした。