chapter1：ヒドイ女 ページ1
[side by Chanyeol]
"『…良い機会だし、終わりにしよ』"
ん？
何だ、人がいたのか…
まいっか、上からは死角だし。
"「何でそんな簡単に言えんの…
そりゃ、デビューしたからには今までと同じとは
いかないけど、お互いにがんば…」"
"『あーっメンドクサイ！ハッキリ言うわ！
あんたが練習練習ってキリキリやってる間に
私が大人しく待ってたとでも思ってる？
遊ぶ相手くらい幾らでもいるんだよ』"
うわぁ…女って怖え…
"「ひどいよヌナ…泣いてもくれないんだ」"
"『あんたのグループが１位でもとったら
逃がした後悔で涙くらい流すかもね。
泣かしたかったら意地になって頑張って』"
"「俺は本気で好きだったよ…」"
"『ありがと。まぁ、若いわりに上手かったから
そこは自信もっていいよ。じゃあね、楽しかった』"
"「サイテーだ」"
バンッ…タッタッタッタッ
男が中に入っていったのか、
いつもの静かな空間がしばらく続いた。
ここはテレビ局の奥にある外階段で、
滅多に人が来ないから何となく一人になりたい時に
フラッと来るんだけど、今日は先客がいたらしい。
別れ話ねぇ…
男の方はさっき控室に挨拶に来てた新人グループの
リーダーに声が似てた気がする。
デビューをきっかけに別れるなんて珍しい。
"アイドルの彼女の座" を喜ぶか、男が見切りつけて
放り出すことが多いのに。
それにしても近年稀にみる酷い女だな。
"『…もしもし、あぁ…はい、すぐ行きます、はーい』"
"タンッタンッタンッ…"
やべ！降りてくる！
一階分を音を立てずに降りてそっと身を隠す、
"キィッ…カチャン…"
鉢合わせはさすがに気まずいっしょ…
てか、そろそろ行くかぁ。
グッと伸びをしてドアまで戻ると、足元に何か
落ちてるのを発見。
「ハンカチか？
…濡れてるしグシャグシャだし汚ね…あ…」
…泣いてんじゃんよ。
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作者名：コナツ | 作成日時：2013年10月31日 2時
