ずっと前から貴方のトリコ 〈津田健次郎〉

26話＆作者より ページ26

大人になってから来ることの無い水族館。
そのせいか私はいつもよりテンションが上がっていた。

『っ…わぁ…綺麗ですね！』

「せやなぁ…」

私が忙しく目を動かして見ていると、隣からつい漏れだしたようにふふっと笑う声が聞こえた。「なんもない」と言うがまた間を空けて笑っている。


「いやぁ〜なんか可愛ええなぁって」

『それってどういう…』

「そのまんま。可愛い」

多分その言葉には"幼くて"の意味も含まれていると思う。

『大人っぽくいようと思ってたんですけどね…』

気づいた時には言葉にしてしまっていた。
津田さんは驚いたような表情になって

「普段からかなり大人っぽい…むしろ今日みたいなのは初めてだから見れて俺は嬉しいんやけど」

繋いでいない方の手をポンッと私の頭に乗せて言った。

自分より大きくて骨感のある手だけどすごく暖かい。

『私…津田さんの隣釣り合ってますか？』

「おぉ…そんなこと思ってたの？」

ん〜、と悩むような声を出して

「Aちゃん俺の事好き？」

『…はい、』

「俺もAちゃんのこと好き。それでいいんやないの？」

やっぱりこの人には敵わない。釣り合うとか釣り合わないとかを考えていた自分が今になって恥ずかしいような気になる。

『そう、ですね…変なこと言っちゃいましたね』

「んーん。同じ目線でいたいからね、正直に話せてよかった」

どこまでも余裕溢れるかっこいい大人。

自分が思っている以上に津田さんに惹き込まれてる、と優しく笑うその人の顔を見て私は思った。


______

作者から

長い間更新できずごめんなさい。
模試があった為、そちらに時間を割いていました。
また、現在の自分の文章の書き方に惑いが生まれていて、中々前のようにハイペースで更新ができません。

新作を考えておりますが、そちらは今と違う作風、文体になるかもしれません。

この「ずっと前から貴方のトリコ」は完結させたいですが、少しグダってきているのも感じております……。

それでもチマチマとこのページに来て頂けたら嬉しいです。

これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m

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