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23話 ページ23

「…っしゃ!」

津田さんは小さくガッツポーズをした。

時々見せるこの可愛さは、普段のオトナな雰囲気とのギャップが凄まじい。

「ダメでも言わないと後悔するって思ってたけど

言ってよかったな」

『ここで出会ってこうなるなんて思ってなかったです』

「んん、それは俺も」

顔を向かい合わせてお互い笑い合う。

マスターが雰囲気を察したのだろう、

にこにことした顔で注文を聞きに来た。

「如何なさいますか?」

「珈琲、2つで」

「かしこまりました。ごゆっくり」

聞かずとも理解している珈琲の注文。

マスターが奥へと戻るのを見届ける。

「Aちゃん」

『?』

「水族館と映画館、どっちが好き?」

『え…っと?』

「直感直感、どっち?」

『水族館、』

「了解」

質問が急すぎて頭の中がハテナで埋まっている。

『…これは…?』

「んー?デート」

もし珈琲を今飲んでいたら確実にむせていた。

テーブルに運ばれていないことが幸運。

『すっごく嬉しいんですけど、津田さん、

人多い所大丈夫ですか?』

人気の声優、その顔を知る人も絶対に多いはず。

私の心配が向けられた当の本人は

「悪いことしてないんだから」

心配なんて何のその、というような顔をして言う。

その後運ばれてきた珈琲を飲みつつ話に花を咲かせた。

この時間にも終わりがあることがつらい。

「そろそろ時間?」

『そうですね…いつもより腰が重いです』

なんて言ったって今日は特別な日だから。
出来ることならずっと話していたい。

津田さんも頷いた。

『でも頑張ります。すごく嬉しい気分なので』

「おーそう言ってくれて嬉しいな」

また連絡する、と伝えられて私は席を立つ。

お支払いを済ませドアに手をかけ、ちらりと津田さんの方に視線を向けた。

津田さんも私を見て手をひらひらと振り、がんばれ と口パクで伝えてきた。

ドアの外は青空が広がっていた。

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reren(プロフ) - 夕さん» コメントありがとうございます。正しくその通りです。自分では気づかないこともあるので御指摘本当に感謝致します(><) お読み頂き嬉しいです!ありがとうございます。 (2月17日 1時) (レス) id: f9bc992b4f (このIDを非表示/違反報告)
- こんばんは(*^^*) はじめまして。 夜分遅くにいきなりすみません。。。 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 15話のここの部分 関節キスが……なんて言えるわけがない。 これ正しくは間接キスが......ではないんでしょうか? (2月16日 0時) (レス) @page15 id: 6d33361b7d (このIDを非表示/違反報告)
reren(プロフ) - 虚無さん» ずっと待っていただいてました??(><) 申し訳ないです。学業の方が忙しくて全く更新できてませんでした🥲 この作品もですが、新作も考えているのでこれからもお付き合いくださると嬉しいです! (5月30日 10時) (レス) id: f9bc992b4f (このIDを非表示/違反報告)
虚無 - ヤッター更新キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! (5月29日 21時) (レス) id: 4a11fac183 (このIDを非表示/違反報告)
reren(プロフ) - 蜂蜜姫さん» 楽しんでいただけてすっっごく嬉しいです!ありがとうございます!色々重なりに重なって更新できてませんでしたね…近いうちにまた更新します!これからもよろしくお願いします🙇⤵︎ (2022年12月26日 16時) (レス) id: f9bc992b4f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:つた。 | 作成日時:2022年10月13日 0時

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