しょうがくせいじょー【HQ】

しょうがくせいじょー12日目 ページ13

.


皆に、それぞれ服を買って帰宅中。


両手に大きな紙袋を持って、よろよろ歩いてます。


千鳥足みたいな。


…ダサッ











それでも何とかマンションまで着き、カードを出す。



通路がこれまた長いんだよな




「っはぁー…」




玄関が見えてくると、どっと疲れが押し寄せてくる。



やっとのことカードを差し込んで、ロック解除の音が聞こえた時。





「うわっ！？」




私が開けるわけでもなく、勝手に開いたドア。



その向こうから、誰かが飛び出してきた。




茶色い髪が、揺れる。


いきなり感じる体温に、驚きを隠せない。






「あ、え…あ、



及川…さん？」




名前を呼べば、それに伴って強くなる腕の力。



私のお腹辺りに顔を埋めて、動かなくなった。




…どうすればいいんだろう。





「…あの、及川…さん。とりあえず中に…」







今更だけどここは外。当然同じ階の人が通る訳で、




「子供いるのかよ」視線が怖いです。



中に入るように促すと、及川さんは首を横に振るだけで、動く気配はない。




…どうしろと。





「あ、あの…」


もう一度、声をかけると





及「………か、った」



「へ、…？」






及「寂しかったっ…」


「！」





及川さんは、涙でグシャグシャになった顔で私を見上げた。




及「何で勝手に行っちゃうんだよ…！お、れっ…置いてかれたと、思ってっ」



「え、えっと…」



及「バカ…！Aのバカ！鬼畜！ドS魔女！男女！」



「…殴っていいですか」




今の感動は何処へ。


一瞬にして崩れた甘い空気の欠片が、パラパラと舞う。




まあ、こんなもんだよね、コンチクショー





「…もう。買い物に行ってただけですから。泣かないでください」



及「泣いてないしっ…」



「じゃあ、私の服についたこの粘着質なものは何ですか」



及「な、涙」



「涙はサラサラしてますよ。このやろう」




ドア閉めちゃいますよくそやろう、なんて悪態をついて先に中に入る。




その瞬間に垣間見えた、及川さんの切なそうな瞳。




「……？」




「本当鈍感」なんて呟きは、聞こえなかった。





＿＿＿＿


りーむさんっ…これでよかったでしょうかっ…



1番にリクエストくださったのに、バラバラになってしまってすみませんでした。


リクエストありがとうございます！

しょうがくせいじょー13日目→←しょうがくせいじょー11日目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す