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あれから相澤先生に連れられ、少女の事情について彼女の記憶も頼りながら説明することになった。
天井の大惨事は大目に見てもらえることになったが、やはり今後一切彼女を通じた個性の使用は禁止された。
頰を膨らませて不満を露わにしていた少女も先生から懇切丁寧に理由を語られると苦々しい顔をして納得せざるを得なかったのだ。
仮にも宿主の担任である彼の部屋を物色し始めた少女はさておき、相澤は爆豪と真剣な面持ちで向き合う。
面倒なことになるだろうと予測していた爆豪でさえ、この空気には耐え難かった。
「爆豪。分かってると思うが、個性が具現化…ましてや人化なんて前代未聞だ。敵がこの情報を嗅ぎつけていつ奇襲をかけてくるか分からない。このご時世利用できるものは利用すると考える奴らがわんさかいる」
隣で目を輝かせている少女を見やり、最悪な事態を爆豪は想像する。
彼女が名前も知らない誰かに連れ去られ、蹂躙され、動かなくなるまで利用される光景が脳裏を過った。
それを自分が許せるか。
彼女をただの個性だと考えれば変に頭を悩ませることもないのだろう。
それでも問題は十分あるが、重点を置く場所はそこではない。
爆豪にはまだ理解もできない心理だった。
「この子の管理はお前に任せるが、絶対に他言はするな。クラスにも伝えて置くが、絶対に、極力にだ。いいか?」
「……っす」
「君もだ。……おい」
机の引き出しを漁っていた少女はどんぐり眼を瞬かせ、振り向く。
その一連の動作を見ていた爆豪はこれがただの個性だとはどうしても思えなかった。
きっと先生も同じ心境だと思った。
「君も自分の情報をあまり振りまくな。そして出来る限り爆豪かもしくはA組の生徒と行動しろ。それが無理なら事情を説明できそうな雄英の教員でもいい」
「相澤先生は?」
「ああ、もちろん俺でもいいよ。そして君の食費諸々は学校側が負担することになると思う。これも公言は控えてくれると助かる」
「ダメなことがたくさんはやだなぁ…」
「しょうがないさ。これも君を守るためだ。君は賢いから分かるだろ」
相澤の言葉に唸りながら、少女は爆豪に体を預けた。
兄弟のような絵面に先程まで厳しい表情を浮かべていた先生もふっと緊張を解いた。
彼女の純真さには何か力があるのかもしれない。
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りと(プロフ) - KoKoRuさん» そうなんです、爆破だからもっと爆発的なイメージを持たれてしまうかな、と思って描かせていただきました。参考になったならとても嬉しいです!(´˘`*) (2018年1月22日 19時) (レス) id: 2e41884d99 (このIDを非表示/違反報告)
KoKoRu(プロフ) - なんかイメージよりフワフワした感じだけど、こっちの方が可愛いと思うので参考にさせていただきます! (2018年1月21日 22時) (レス) id: 43321ef465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りと | 作成日時:2017年12月24日 21時