04 ページ6
.
爆豪は個性が好き勝手暴れているのを承知していながら、ソファーに座って切島と話していた。
隣で腹が減ったことをしつこく主張しているが敢えて無視を決め込んでいるようで、挫けそうになっている少女を切島は哀れみの目で見た。
「えーっと…とりあえずよ、個性のあの子が体から出てるっつーことは、爆豪は個性使えねぇのか?」
切島はこの問題の核心に触れ、そういえば試していなかった爆豪はズボンのポケットから右手を出して爆破を試みた。
プスプスと情けない音と共に煙が立ち上がる。
しかし肝心の爆破は起こらなかった。
部屋中に焦げ臭いにおいが充満し、彼女の話し相手になっていた緑谷達も顔を顰めた。
「不燃焼ってくせぇな」
切島が換気のために窓を開ける。
その様子を傍観していた彼女は、爆豪の手のひらからまだ出ている煙に察しがついたようだ。
「私がお手伝いする?」
そう言って爆豪の手のひらと自分の手のひらを重ねた。
すると重なった部分が突発的な光を放ち、轟音を響かせる。
すぐ真上にあった爆豪の顔は危険を回避したが、真っ白な天井は黒く焼け焦げた。
「っは…?」
「え、や…ば…」
「お、おい爆豪!大丈夫か!?」
それぞれが思い思いを呟く中、一番に爆豪の身の心配をした切島は気づいた。
その手のひらから爆破が起こったはずなのに、重ねていた彼女の手は傷一つついていないのだ。
爆豪は状況を理解できないまま、彼女の顔を見つめた。
「爆発、起こしたかったんでしょう?天井真っ黒になっちゃったけど大丈夫かしら。大丈夫よね!」
彼女は無邪気に笑うが、周りはあまりの脅威に慄いている。
爆豪もその一人だった。
「…勝己?もしかして天井、怒られちゃう?」
爆豪の表情から今度はしおらしくなる彼女とは裏腹に、彼は自分の個性の潜在能力の高さに震えた。
彼女を外に出した方がよっぽど威力がある事実を突きつけられ、言葉が出ない。
爆発音に駆けつけた相澤先生は彼女を見つけて酷く驚いているようだった。
そして可愛らしい彼女は只者ではないと、そこにいた誰もが頭に刻んだのだった。
.
190人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りと(プロフ) - KoKoRuさん» そうなんです、爆破だからもっと爆発的なイメージを持たれてしまうかな、と思って描かせていただきました。参考になったならとても嬉しいです!(´˘`*) (2018年1月22日 19時) (レス) id: 2e41884d99 (このIDを非表示/違反報告)
KoKoRu(プロフ) - なんかイメージよりフワフワした感じだけど、こっちの方が可愛いと思うので参考にさせていただきます! (2018年1月21日 22時) (レス) id: 43321ef465 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りと | 作成日時:2017年12月24日 21時