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SHRが終わると一限が始まる。
クラスのみんなが教科書やノートを机に用意する様子を眺めていたAは、当然のような疑問を爆豪に投げかけた。
「ねえ、私の教科書は?私は授業受けないの?」
彼女の声を聞いた途端、苦虫を噛み潰したような顔をする爆豪はやれやれといってAに向き直る。
Aにとっては当然といえば当然の疑問だが、その逆も然りである。
彼にしたら幼稚園児を相手にしているようなものなのだ。
爆豪は当然の回答をした。
「テメェは何様のつもりだ、たかだか個性だろうが。何で人間でもねぇテメェに教科書まで配布される義理があんだ?」
「でも制服はもらえたよ?制服を着ているうちは雄英の生徒ではないの?」
「ちげーよ、勘違いすんな。お前は俺のだ」
お前は俺の個性だ。
爆豪としてはそんなニュアンスで口にした言葉は、彼の後ろの後ろの席である峰田実にとっては聞き捨てならないセリフであった。
鬼の形相で近くまで来ていた上鳴に振り返り、前の二人を指差す。
「おい!何だアイツら!!主人と個性の関係だよな!?いつの間にぃぃいいい!?」
「お、落ち着けって。何か爆豪も朝からチョーイライラしてるし、お前八つ裂きにされんぞ」
「目の前でイチャイチャされて落ち着けるか!!美少女だぞ!?個性でも美少女なんだぞー!!!」
逆に、個性なのに美少女である必要はあったのか。
それは持ち主の能力に左右されるものなのか、爆豪が天才故に彼から生み出されるものすら造形が美しくなるというのだろうか。
そんなものこじつけでしかないが。
「マジでやめた方がいいぜ。Aちゃんだから許されてるのもあるしよ」
「何だぁ?そんなに機嫌悪いのか?溜まってんじゃねーの?」
「お前それ爆豪の前で言ったら爆破じゃすまねーぞ。いやー、さ。朝ご飯の時にいつも通り話しかけようとしたらよ、目が人一人殺しそうな勢いで」
「もう殺してんだろ」
「言ってやるなよ」
上鳴は朝のことを思い出しながらさりげなく爆豪のフォローにまわる。
確かに爆豪は機嫌が悪い。
本人も自覚していないほどの感情の機微であるが、爆豪はとにかく表に出やすい。
つまり何かが気に入らず怒っていることなど周囲にダダ漏れの状態であった。
しかしそれにも気づかない者がいるから爆豪本人も機嫌の直しようがなかった。
その不機嫌は元凶であるAにしか直せないということだ。
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りと(プロフ) - KoKoRuさん» そうなんです、爆破だからもっと爆発的なイメージを持たれてしまうかな、と思って描かせていただきました。参考になったならとても嬉しいです!(´˘`*) (2018年1月22日 19時) (レス) id: 2e41884d99 (このIDを非表示/違反報告)
KoKoRu(プロフ) - なんかイメージよりフワフワした感じだけど、こっちの方が可愛いと思うので参考にさせていただきます! (2018年1月21日 22時) (レス) id: 43321ef465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りと | 作成日時:2017年12月24日 21時