10 ページ13
.
翌朝、爆豪よりも早起きをしたAが彼を起こし食堂に向かう最中、思いついたように告げられた彼の一言が彼女をどん底に叩き落とした。
「え、な…」
戸惑いを隠せないAは目を見張る。
爆豪はそんな彼女を冷えた眼差しで捉えていたが、屈辱と怒りでそれ以上は口にしたくなかった。
そう、今日は爆豪にとって戒めでもある
「だからっ…。補習だっつってんだろが!!」
「うえぇぇぇぇ!!せっかく制服作ってもらったのに〜!!」
クラスで二人しか不合格者が出なかった仮免の補習である。
ちなみにもう一人は轟なのだが、彼の不合格の理由は爆豪に比べれば改めるのは容易い。
しかし爆豪の理由は爆豪自身の性格を一から形成し直さなければ改めることはまず不可能だ。
それを補習という形で許されるのだからヒーロー界も手厳しさだけではないようだ。
「私ずっと勝己の中にいなきゃいけないの!?」
「あったりまえだろうが!!テメェが外に出て個性が使い物になるわけねぇんだから!」
「私の制服は…!」
「んなもん明日から着ればいいだろ!どうでもいいわ!」
Aの嘆きは一蹴された。
涙目になって訴えかける姿に同情も慈悲もない爆豪は、腕に絡みついてくるAを払って大足で食堂への廊下を抜けた。
しょぼくれて爆豪の後に続いたAは八百万を見つけると途端に走り出し、泣き出した。
「あら…。Aさん、どうなさったの?」
「ももぉ〜〜〜!!勝己が〜〜〜〜!!」
「爆豪さんに意地悪されたのかしら?よしよし、大丈夫ですよ」
「勝手に人を悪人にすんな!!ぶっ殺すぞコラ!!」
「まぁ!本当に低俗な言葉遣いですわ!」
八百万の豊満な胸に顔を預けているAを怒鳴り散らす爆豪に八百万は非難の目を向けた。
まるで娘を過剰に脅かす父親を咎める母親という図だ。
その父親の立場である爆豪は反省の色など全く見せないが。
「Aさん。どうしてもという時は自分が彼の個性であることを逆手に取るのですよ。これも護身の一つです」
「…逆手?」
「ええ、話を聞くところによるとAさんが爆豪さんの体の外に出ている間は個性が使えないのでしょう?」
「おお、なるほど!今は私の方が強いわけね!」
脅しまくりだね!と笑顔を作るAは魔性だと、八百万は触れ合って初めて痛感した。
しかし可愛いから許してしまう。
その気持ちも分かってしまうのだった。
.
190人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りと(プロフ) - KoKoRuさん» そうなんです、爆破だからもっと爆発的なイメージを持たれてしまうかな、と思って描かせていただきました。参考になったならとても嬉しいです!(´˘`*) (2018年1月22日 19時) (レス) id: 2e41884d99 (このIDを非表示/違反報告)
KoKoRu(プロフ) - なんかイメージよりフワフワした感じだけど、こっちの方が可愛いと思うので参考にさせていただきます! (2018年1月21日 22時) (レス) id: 43321ef465 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りと | 作成日時:2017年12月24日 21時