re:思うところはある ページ37
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父親の何が嫌いか、と問われれば簡単に思い当たるような子供じみた感情ではない。
エリートの遺伝子上、頭の回転も非常に速く小学校も私立に行かせるか両親は悩んだところだった。
その上兄の火凪は性格からも分かるように"そういった部分"が非常に発達しており、感受性が豊かなため感じずにはいられないことが多々ある。
だからこその悩みだった。
「今日もパパとおはようしなかったね」
「…何でもいいじゃん」
小学校の帰り道、見守り隊やPTAの方々が後ろについて安全に下校をしている最中、隣を歩いていた魅風は不意に思い出したように彼に話しかけた。
お父さんっ子の魅風には到底理解ができない感情だが、共に生まれてきた実の兄の悩みを放っておくほど無慈悲な子供でもない。
素っ気ない兄の返事に拗ねたりはせず、本当に心配している顔で言葉を選んでいく。
「でもさ…、パパも悲しそうにしてるよ。この前火凪がお熱出たときも電話ですごく心配してて…」
「……電話？」
「うん。ご飯は食べれてるかって。何でそんなにパパのこと嫌がるの？」
そう話す魅風も悲しそうだった。
火凪の感情にもきちんと理由があって、原因が父親である理由を考えても分からない魅風は少し泣きそうに。
火凪はそんな魅風を見て意を決したように口を開いた。
「……ヒーロー、だから」
「…ヒーローだから？」
「うん。パパはヒーローだから、僕達だけのものじゃない。ヒーローだから、たくさんの人を助けなきゃいけない。そのせいで僕達が傷ついても気づかない」
僕、見ちゃったんだ。
火凪の脳裏には大好きな母親の顔が浮かぶ。
しかし理由の一つである出来事を思い出すと、笑顔だった母の表情はたちまち暗くなった。
「…ママたちの結婚記念日、昨年の。僕達をおばあちゃん家に預けてママとパパはお出かけするって話してたの覚えてる？」
「うん、覚えてる」
「だけどパパ、急にお仕事入っちゃってお出かけなしになったでしょ。預けてすぐ迎えに来た時のママの顔、見ちゃったんだ」
これまでにも数多くあったそれに目を瞑っていた火凪も、母の顔を見た瞬間、心臓を握りつぶされたような感情を覚えた。
それが父への嫌悪だと気づくには、そう時間はかからなかった。
この歳にしては随分マセた悩みだが、これが思春期となれば今以上に気持ちは膨れ上がり、きっと取り返しがつかないことになっていたと、後に彼は語る。
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麗葉 - かっちゃんがお父さんしてる？！夫婦揃って可愛いの極みなんですけど、、、とってもほんわかする作品をありがとうございます！ (6月7日 20時) (
レス) @page45 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 微笑ましい(笑) (2023年3月19日 4時) (レス) @page45 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
カノカノ - めちゃくちゃ面白かったです！かっちゃんが好きすぎてちょとヤバかったです。轟くんの、問題発言は笑いましたw (2021年6月25日 21時) (レス) id: 380b56bd12 (このIDを非表示/違反報告)
Mirai(プロフ) - 今になって読んだ者ですぅぅ… 凄く面白かったです！かっちゃんがお父さんしてる…！ って感じでした笑 感動で何度も泣きそうになってしまいましたが何とか堪えました笑 (2020年11月3日 0時) (レス) id: 2d49307bc6 (このIDを非表示/違反報告)
たろ(プロフ) - なんかもう感動というかたくさんの感情が事故を起こしています。でも、私が今言えることは、産んだ。うん、私は子供を産んだ。誰がなんと言おうとかっちゃんとの子を産んだんだー！！！！ (2019年4月27日 2時) (レス) id: 418d22be85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りと
| 作成日時：2017年4月3日 19時
